14.眠れぬ夜 ページ15
Aside
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賢「ここにいていいんですよ」
静かで冷たい風が吹く夜
魔法舎の屋根の上で賢者様の言葉を思い出す
行く宛ても無い、今北に帰ったら死んでしまうことくらいわかっている
本当に人間みたいになってしまった
《レティステレ・インサニアス》
「お前を出せるのもやっとだ」
自分の手に出現した魔道具のオルゴールを優しく撫でる
鍵穴に鍵を差し込み3回まわして軽く押し、鍵を抜くと音が流れる仕様だ
〜♪
いつ聞いても綺麗な音に頬を緩める
人魚の歌声を聞いているかのようだ、子守唄のような私を落ち着かせ和ませ慰めてくれる…そんな音
「はぁ…」
ため息が出るほど美しい音色に目を閉じる
?「……」
目を閉じていてもわかるほどに誰かからの視線を感じ目を開ける
?「キラキラしてる!」
目を輝かせ私の顔を除く男が目の前にいた
「!?!?」
?「きみも、そのオルゴールも、月みたいにキラキラしてる!もっとよく見せて!」
そういうと男は私の顔を両手で包んで目を覗いてきた
なにかを見透かされているような…そんな感じがした
「急すぎてわからないな…」
ム「魂が砕けちゃった!西の魔法使いムルだよ!」
「魂が砕けた?」
どんな自己紹介なんだ…只者じゃないな
恐怖こそあまりないがどこか怪しい彼に警戒していると
私が背けた視線の先に顔を出してきた
ム「ニャーオ!」
「ひぇ」
掴めなさすぎるペースにどうすることも出来ず硬直してしまった
ム「あ、固まった」
彼は暫く私を見つめていたと思うと、オルゴールに触れ美しい音を流し始めた
〜♪
「……勝手に触るな、なにか一言…っ!?
急に私の手を引き、私をどこかの姫様のように扱いだす
ム「踊っちゃおう!」
「よくわからない、イカれてるな…」
ム「イカれてるって最高!きみは?」
「…嫌いじゃない」
そう、…とても楽しいが本音だった
このメロディーは踊れるような曲調では無い
それでも彼は優雅に私をエスコートをする
私からしたら初対面だが彼は親しい人と会話をするように踊っていた
心地が良くて楽しい…
そのうちムルくんは喋りだした
ム「そういえば!アキシナイトを知ってるってシャイロックが言ってた!宝石すき?」
「あぁ…暇さえあれば探しに行っていた」
ム「素敵だね!来て!宝石について語り合おう!」
こうしてムルくんの部屋でキラキラしたものについて語り合い、楽しく居心地のいい眠れぬ夜となった
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雪女 - 更新楽しみにしてます (3月6日 16時) (レス) id: 6c1d2855e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:f | 作成日時:2024年2月12日 23時