こんにちは、賢者の魔法使いにしてください。【まほやく】 (ページ11)

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10.その訳ページ11

ヒ「え…そうなんですか…？」

店主「…忘れられていくのが怖かったんだ、だから最後に少し印象的な事件を起こして忘れられなくなればいいな、なんて考えていたんだ」

「勝手に忘れられる心配をして勝手にやめようと決意したくせに忘れないで欲しいとか…弱」

店主「……」

「お前、店の外を見てみてくれ」

店主「………！」

Aの指さした方向に全員が視線をうつす

そこには痩せ細っている子供達がこちらを心配そうに眺めていた

「あの子たちにお前はおまけだってこの飴を分けてあげていたんじゃないのか」

Aは先程オーエンから貰った飴を店主の手に渡す

店主「……なぜそれを」

「あの子たちの何人かが、この飴を包んでいるのと同じ紙を手に握りしめている」

賢・ヒ「ほんとだ…」

ネ「……」

ネロの瞳が段々穏やかなものへと変わっていく

ファウストも同じように全てを察したようだ

店主「あの子たちはもっと幼かったんだ、でも段々成長してきて…もうそろそろ自立してもおかしくない年齢になって来ている」

ファ「忘れて欲しくない対象はあの子供達だったのか」

シ「なるほどな」

シノも理解したようだった

シ「忘れられるわけないだろ」

店主「え？」

シ「あの子供たちにとってあんたは心の支えなはずだ、あんたの心の支えだった存在を忘れたことはあるか？」

店主「……ない」

シ「だろ？俺もだ」

賢「…店主さん…こんなことしなくたってあの子達は貴方のこと忘れないと思いますよ」

店主「賢者様……この度は申し訳ありませんでした、怪我をさせてしまった…この店は閉じようと思います」

ヒ「えっ」

賢「そ、それはいいんです！気にしないでくださ…

店主「ですが、行き場のない子供たちのために分け与える市場を建てようと思います」

ファ「ふっ…」

賢「！……ぜひ！手伝わせてください！いいですよね皆さん！」

ネ「ははっ…やれやれ」

店主「あぁ、Aさんだったかな…すまなかったね…」

「……ふん」

ファ「そういえば店主は魔法使いじゃないよな？」

店主「あぁ」

ファ「じゃあ誰が商品に魔法を…そういえばあの気配…」

ネ「そういやなんでオーエンはこの店におまけがあることを知ってたんだ？」

店主「その兄ちゃんに夜になったら商品を沢山溶かしてくれって飴と交換条件で魔法をかけてもらったんだ」

賢・東「あぁ………」

「いつの間にかオーエンがいなくなってるな…」

こうして、事件は解決したのであった。