検索窓
今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:10,795 hit

3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈2話〉 ページ21

ティーは彼女の勢いに半ば置いていかれそうになったが、何とか勢いに付いていくことが出来た。機関車に乗る直前、近くで座っているジェアイに気が付いた。今まで完全に気配が消えていて気付かなかったのだ。

「またお会い出来ましたね。ジェアイさんも乗るんですか?」
「それ以外の何に見える。」

 面白そうでもなく言い放った。その態度に少し困ったが、直ぐに笑顔で受け答える。数百年も接客業を続けていれば上手くもなるだろう。

「見えませんね。」

 丁度彼女が操縦車両に入るところで足を止めた。

「ジェアイあんた、その子と知り合いだったのね。」
「ああ。」

 その回答を聞くと近付いてきて、大きくも切れ長の緑色の瞳を更に吊りあげる。

「もう!そういう事はさっさと言いなさいよ。」
「いや……まあ、あれだ。襲われるかもって思った。あの子が。」

 少々目を泳がせたが、直ぐ眠そうな双望をしっかりと彼女に向ける。それに苛つきを覚えて、持っていた工具を振りかざし、

「いい加減殴るわよ。」

 恐喝した。

「ああもう分かったから止めろ。あの子に自己紹介でもしてくれば?」
「そうよ、あんたに付き合ってる暇はないわ。乗るなら早く乗んなさいよ朴念仁。」

 綺麗な笑顔で発言は始まったものの、即座にジェアイに冷たい視線と毒舌を浴びせた。彼女の毒舌の実力は、中々目を見張るものがある。それ以外にもコミュニケーション能力に富んでいる。戦時中はこれでスパイをする事も多かった。

「……ひでえ言い様。」

 愚痴を言いながらも彼女の後から車内に入った。

3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈3話〉→←3章 朝焼けを望む小川の畔にて〈1話〉



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (21 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
12人がお気に入り
設定タグ: , 武器 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

弧瑠十 奏(プロフ) - 00さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけると頑張れます。これからも是非ともよろしくお願いいたします! (2022年6月4日 18時) (レス) id: 886c7552f3 (このIDを非表示/違反報告)
00 - コメント失礼します。とても面白かったです!本当にお話を書くのがお上手ですね。パート2も楽しみにしています!! (2022年6月4日 11時) (レス) @page46 id: 4683564af1 (このIDを非表示/違反報告)
弧瑠十 奏(プロフ) - 更新かなり遅くなりました。申し訳ございません。 (2021年11月30日 6時) (レス) id: 886c7552f3 (このIDを非表示/違反報告)
はちみつあめ(プロフ) - 検定頑張ってください (2020年10月26日 8時) (レス) id: f82d3976b3 (このIDを非表示/違反報告)
ソウ(プロフ) - 白夜の世界さん» 有り難う御座います!とても嬉しい御言葉です。これからも、頑張ります。 (2020年6月9日 16時) (レス) id: a9c96849d7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:弧瑠十 奏 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aaaD  
作成日時:2020年2月25日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。