終わったよ ページ29
なんとか、必死の思いで耐えた。
歯を食いしばって、もう顔が梅干しになっちゃうんじゃないかってくらい。
最後の方に近づくと、音が静かになって耳障りな音がなくなってきた。
音が完全に消えると、部屋の扉が開いて羽田先生が入ってきた。
羽田「これで終わりだ、よく頑張った」
頭をちょっと乱暴に撫でられる。
レディには優しくとか、そういうこと言いたかったけど、あいにく今の松尾ちゃんそこまで元気じゃないみたい。
いや、頭の中はいつでもハッピーだけど?
体力が、ね?
松尾「うふふ、しょ。」
羽田「おう。」
ベリベリと拘束具が剥がれていく。
やっとこさ開放された体を起こして、先生に手を引かれて部屋を出る。
大松「あら、汗びっしょり。はい、これタオル。そこで着替えてらしゃい」
またカーテンを閉めてもらって、汗まみれの身体をタオルで拭きながら着替える。
わ、さっきまで来ていたパジャマは良い香りじゃ。
にしても、すんごく疲れた。
もう、これは嫌かな。
羽田「岩渕さん、三田は?」
岩渕「あーっとね、ああ、患者が急に暴れたとかで精神科行ったわよ。あんたが送ってあげなさい」
羽田「うい」
羽田さんが送ってくれるんだね。
わういわうい
全部着替えて、カーテンを開けた。
羽田「戻るぞ」
うん。
大きく頷いて、部屋を出て行く羽田さんについていく。
羽田「失礼しました。大丈夫か」
松尾「元気はつらつ松尾ちゃんだよ」
羽田「ソリャよかった」
そのままエレベーターに乗って、ロビーのある階に降りる。
羽田「ちょっと待ってろよ。」
受付けに行くらしく、こちらを振り返ってきた。
松尾「待ってればいいの?」
羽田「ああ。間違っても中庭には行くなよ」
あっ…
やはりダメか。
美味しかったになあ
いやいや、食べようとか思って無いし?
おとなしく座ると、安心したように受付に走って行った。
あのラズベリー本当に美味しかった。
なんであんなに美味しかったのかしら。
ジャムにしても美味しそうだったな。
お腹が減ってきちゃった。
目の前を走るちっちゃい子とかが、きゃうきゃう言っててかわいいね。
こっちまで楽しくなっちゃった。
きゃっきゃと笑う声に紛れて、ガリガリと何かをひっかく音がしてる。
なんか、こんにゃくをひっ掻くというか、ううん、布…じゃないな
…あ
松尾「かゆい」
ふと自分の手を見ると、右手の甲に引っかき傷。
疑いがあるのは…私の左手。
ミミズ腫れみたいになってる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
多趣味のM(プロフ) - これって本当に更新するんですか??とても良いので更新してほしいです (2020年12月17日 22時) (
レス) id: 2c30e4e7ea (このIDを非表示/違反報告)
おかか - めっちゃ続き気になります!!続き待ってます!!!! (2020年8月13日 8時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - 読み返して、楽しんでます！応援してます！ (2020年5月24日 11時) (レス) id: 110b716f36 (このIDを非表示/違反報告)
白樺(プロフ) - 好きです！(突然の告白)続き楽しみにしてます！ (2020年4月10日 19時) (レス) id: f516a354d7 (このIDを非表示/違反報告)
らい - 続きが気になります。続き楽しみにしてます。 (2019年11月10日 21時) (レス) id: 26611fb27f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わこわこ〜 | 作成日時：2019年3月25日 22時
