黒尾鉄朗が。 ページ5
『過度な束縛』
ピピピピ…
脇に挟んでいた体温計を見ると38度をこえていた。咳もひどく、喉も痛いため、学校に休みの連絡を入れる。…それと、彼氏にも。
佐藤『熱出たから休む!ごめんね!』
すぐに既読がつき、思わずため息をつく。突き放されたりはしない、むしろすんごく心配してくれるし、大切にしてくれている。
黒尾『エッ大丈夫か?!A行かないなら俺も学校行く意味ねぇ…。』
佐藤『もー、そんな事言ってないで、さっさと朝練行ってきなさい!』
そのメッセージと共にうさぎのキャラクターがプンプンと怒っているスタンプを送ると、はーい、と気の抜けた返事がくる。これで一安心。熱が上がってきたのか、画面の字を読むのも辛くなり、ベッドに寝転ぶ。…いつの間にか、そのままの状態で寝てしまっていた。
『…大丈夫か?!』
起きると、そんなメッセージが10件以上も同じ相手から届いていた。電話もかかってきていたみたいだ。しかし頭痛がひどくなってきたため、また寝転ぶ。
次に目を覚ましたときには
黒尾『…Aいないの辛かった。死ぬ。』
このメッセージが来ていた。何件も何件もこのようなメッセージが送り付けられていて、流石に腹が立つ。
佐藤『心配してくれるのは嬉しいけど、本当に元気がなくて返信できないから、メッセージ送るのやめてくれない?』
はっきりとそう告げると、もういい、死ぬ。 とかなんとか言ってそれっきり送ってこなくなった。
次の日、私はすっかり回復し、学校にも行けるようになった。
黒尾「…よかった、治ったのか。心配した、ほんと、死ぬかと思った。もう風邪ひくなよ!」
多少束縛が酷いのは相変わらずだが私が病み上がりなのが原因なのか、必死にそう言う姿は少し愛おしく感じた。
end
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作者名:桜乃 ぽる | 作成日時:2017年6月26日 22時