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キヨが少し声を張ってこちらに話してくるのを、私は相槌を打ちながら聞いていた。次第に、体が温まり、これ以上入ってたら出るとき具合悪くなりそう、と直感的に思った。正直、言うつもりはなかったけど迷惑かけたら元も子もないしね。
A「ね、キヨ」
温泉があまり得意じゃないことを話した。嫌いなわけではなく、今日は選んでくれて嬉しかったしリラックス出来てよかったこともきちんと内容に入れて。
キヨ「そりゃよかったわ」
早く言えよ、って軽く怒られるか、無理させてごめん、と謝られると思っていたのでその返事は少し意外だった。でもなんとなく言いたいことはわかった。怒っても謝っても私が気を使うってわかるから、今日癒せてとりあえずよかった、ってことだろう。…っていうのは、都合よく考えすぎ?
お互いはやめにお風呂を出て合流することにした。ゆっくり浸かりたいなら全然待つよ、とも言ったんだけれど、キヨは私と同じタイミングで出ることにしたみたいだった。
キヨ「…てか知らなくてごめん」
A「言ってなかったし、知らなくて当然だから」
そう答えたら、何故か彼は少し考え込み始めた。しばらく黙っているとキヨの中でなにか答えが出たようでにこにことこっちを見てきた。何だこの笑顔、普段あんまり見ないタイプの笑い方。
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作者名:ぽる。 | 作成日時:2019年7月25日 22時