48話 ページ48
彼女は不思議そうな顔をして、首を傾げる。
ヒラ「…誰とは言わないけど、俺にも好きな人がいるんだ」
ほら、そうやって自分を守って。まあこの後に話す内容に当てはまる女の子なんて彼女しかいないんだから、バレはするんだけど。ほんの少しのプライドとこれまでの関係を捨てたくないという想いから、こんな伝え方になってしまった。
ヒラ「でもそいつは幼馴染みが好きで、俺の友達のことも好きみたい…敵わないことなんか遠の昔からわかってたはずなのに、最近寝る前に泣きそうになることがよくある」
その言葉を聞いて彼女は気付いただろう、自分のことだと。そしてそれを直接伝えない俺が弱虫であること、卑怯なやつだということ、すべてわかった上でAちゃんはいつもみたいに優しい笑顔を浮かべるんだ。
A「…その女の子、きっとヒラくんに好きになってもらえて嬉しいと思う」
俺は涙が零れそうになる。
ヒラ「でも、諦める。今までありがとう、俺はフジのことが好きでもキヨのことが好きでもAちゃんの味方だからね」
…つい、直接的な伝え方になってしまったが、Aちゃんはにっこり笑ってくれた。ありがとう、俺の好きな、好きだった人。
2、3日は毎日泣くし、1週間は顔を見れないし、3週間は君のことばかり考えちゃいそう、2ヶ月くらいしないと、祝福してあげることなんかできないかもしれない。
でも、2人に負けないくらい、好きだったよ、幸せを願ってるからね。そんな思いで俺は自分の手を見つめ、強く握りしめる。
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作者名:ぽる。 | 作成日時:2018年10月21日 18時