【実況者】最終兵器青春【最俺】 (ページ38)

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38話ページ38

その言葉に、Aは顔を曇らせる。もしかしてビンゴ？そう感じた途端、こちらの顔まで曇ってしまう。キヨはAと会ってからまだ数ヶ月、俺は会ってから十数年…。

A「わ…わからないの、私」
フジ「へ？」

思わず間抜けな声を上げてしまった。否定でも肯定でもないその言葉を俺はどう受け取っていいのか分からなかった。好きなのかそうでないのかわからないというのは、もはや好きということを指しているようにも思えるが、そんな簡単な問題じゃないかもしれないことも感じた。

A「私、ずっと好きだった人がいてね、その人のことがすっごく好きだったの、…ううん、好きなの」

それ以上喋らないでくれ、そう思うくらいに彼女の発言は残酷であった。Aの表情をうかがうと、照れたような顔をしている。その誰だかわからないずっと好きだった人のことを思ってそんな顔をしているのかと思うと顔を顰めてしまいそうになる。

A「だけどキヨさんと会って、話してたらなんかわからなくなっちゃって…ずっと好きなのに、キヨさんにもドキドキしちゃってて…」

…そう、最初から勝ち目なんかなかったのだ。誰だかわからないずっと好きだった人とキヨで揺れている、俺は傍観者、関係ない人。勝敗がどうのじゃない、俺は同じ土俵にすら立てていないのだ。

A「…ずっと好きだった人、誰だと思う？」

彼女がそう俺に聞いてきたとき、2人は帰ってきた。俺らの少し変な雰囲気に2人も気まずそうな顔をしながらコンビニ袋を床に置きながら座った。