32話 ページ32
フジside
…なんか違う。なんか、キヨの顔がいきいきとしている、というか、なんか、違う。いつもに増して元気で明るい気がする。そしていつもに増してAに対して積極的だ。
この間は負けてない、とか言ってしまったが、もしかしてもう、勝敗はついているのかもしれない。なんだか2人の間に流れる空気が違う気がする…のは、俺の思い過ごしかな。
A「フジ、元気ない?」
そうAが俺のことを気にかけてくれたかと思うと、ヒラが俺の腕を引っ張ってAと引き離す。
ヒラ「…なんか今日、キヨのペースになってる。フジもっと自信もって」
小声でそう助言をくれる。ヒラもそう感じるのか。…にしても、ヒラがこんなに直接的に、それも自発的に、アドバイスをくれるのは珍しい。それほどキヨとAの距離が縮まっているということなのだろうか。俺の不安は大きくなってしまう。
ヒラside
あからさまに距離を詰めるキヨと、寂しそうな顔をするフジを見ていたらいろいろと堪らなくなってしまい、Aちゃんがフジのことを気にかけたタイミングで俺も助言をしてしまった。
A「フジやっぱり元気なくない?ね、ヒラくん」
そう急に話を持ちかけられて、少し肩を揺らしつつ、頷く。同時にフジの背中を力を入れて叩く。
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作者名:ぽる。 | 作成日時:2018年10月21日 18時