Episode：29 ページ32
屋上へ行くと、ナースさんと患者さんが数人いた。俺は場違いのようにも思えたが、どうにも息が詰まる感じがして、外の空気を吸いたかった。
残り何ヶ月とか、残り何日とか、あとどれくらい一緒にいられるのかなんてそんなの分からないけど、少ないことは確かだ。ジリジリと太陽が照りつけているのにウザったさを感じないのはきっと彼女のせい。
ぼーっとしているとあっという間に15分が過ぎていた。もう戻っても良いだろう。
キヨ「あれ、みんなは」
A「帰っちゃったよ、あ、でも病院を出るときにLINEくれって言ってた」
何を話していたのか聞いても意味が無いことくらい分かっていたので、俺は何事も無かったかのようにカバンからノートを取り出して今日も質問を始める。
A「今日は何を聞くつもりなの？」
キヨ「…そうっすねえ、あらかた聞いたんですよね」
家に帰って読み直したり書き写したりしているときに次の質問が思いついたらその場でメモをして絶対に聞くようにしているのだが、もう質問が思いつかないところまできていた。だいぶ聞いたもんなあ。
キヨ「聞いていいのかわかんないんですけど、元彼とか」
今まで聞こうか悩みつつも、これを聞くのはなあ、と放置していた質問に手をつけることにした。
A「あはは、私は生涯独り身です」
前にうっしーが言っていたことが本当なんだな、と気付く。こんなに可愛いのに誰も手を出してないなんて不思議だけれど本人から聞いてしまった以上、疑うことも出来ない。
A「そういうキヨくんは？」
そうそう、何かを質問するとよくそのまま聞き返されるのだ。
キヨ「…1人だけ。高校に上がるときに別れたんすけど、すげえ優しかったです」
A「キヨくん面食いっぽいよねー」
面食い、というほど顔に重きを置いているつもりは無いけど幼稚園のときに好きだった子も顔が可愛かったし元カノもクラスで1番可愛い子だった。そして今好きなAさんもすごく可愛いし、面食いなのかもしれない。
キヨ「この先もう彼女はできないですけどね」
それはそのままの意味だった。この先、Aさん以上に好きになれる人ができるとは思えないし、この気持ちは消えない。
A「…なにそれ、もったいないの」
キヨ「Aさん以上に好きな人絶対できないですもん」
そう声に出したと気付いたのは、目の前の彼女がこれでもかというほど目を見開いていたからだ。
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すーぱーまん(プロフ) - 夕暮れと歩道橋って、全身デイズの元の歌詞、、、、（ ; ; ） (2019年11月4日 16時) (
レス) id: b313339a6e (このIDを非表示/違反報告)
ぽる。(プロフ) - まめさん» 感動…めちゃくちゃありがたいです（；_；）これからも頑張りますので何卒よろしくお願いします！ (2019年8月7日 12時) (レス) id: 3842b3f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - とてもいい話ですね、感動しました。これからも頑張ってください (2019年8月7日 9時) (レス) id: 27b60b734a (このIDを非表示/違反報告)
ぽる。(プロフ) - マキさん» そんなふうに思って頂けて本当に本当に嬉しいです！今後ともよろしくお願いします（；_；） (2019年8月6日 0時) (レス) id: 3842b3f5d9 (このIDを非表示/違反報告)
マキ(プロフ) - 好きって伝えるしかないなってこれを読んで思いました。主さんの作品好きです. (2019年8月5日 23時) (レス) id: e7d0721580 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽる。 | 作成日時：2019年5月1日 18時
