翔んで流星街！【H×H】 (ページ41)

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翔んで40話ページ41

空気がピりつく、というようなレベルじゃない。
体の芯まで纏わりつくような、物凄く嫌な感じ。

キルも同じように得体の知れない何かを感じ取っているみたいで、体は震えを抑えられないでいる。

そしてその刹那、イルミさんの姿が消える。

来る―――――！！！

本能で危険を感じ取っても体をすぐには動かせない。

それでも何とか震えるキルをかばうように前に立つ。

「させるかボケがァァァ！！！」

『ウヴォー！！！』

「邪魔だなぁ……。」

「A、外だ！外に出てなるべくここから離れろ！！」

『うん！キル、行こう！！』

キルの腕を揺さぶって外に行こうと促しても震えたまま動かない。

どうしようーーー

そう思っていた時、フェンリルがキルの足首に噛み付いた。

「…痛ってぇーーーーーー！！！何だよ！！！」

『良かった戻った！早く、外に逃げよう！！』

キルの手を取って一目散に外を目指す。

『ヒィ…ヒィ……肋骨に…響くぅ……。』

「…ほら、これで大丈夫か。さっきはありがとな。」

『あばばば……いや、私は別に何も…。』

キルは軽々と私を抱き上げると、更にスピードを上げて走る。

10歳にお姫様抱っこされる20歳…
お姫様抱っこに憧れはあったけど、なんか違う。

…年齢差のせいだなたぶん。

「キルいたかった？ごめんねぇ…。」

「あんなの痛くも痒くもねぇよ。」

「でもさっきいたいって…。」

「ちがっ…あれは違うからな？！とにかく、フェンリルもありがと。」

フェンリルの牙は結構痛い。前に一度私も噛まれたことがあるからよくわかる。

『素直に痛がっていいんだよ？』

「痛くねーよ！！……うっ…頭が……！」

『キル？！大丈夫？！』

大丈夫と言いながらも顔は苦しそうにしている。

少しスピードが遅れたことでイルミさんに追いつかれそうになる。

でもその後ろでウヴォーが立っていた

……あれを放つ体勢で。

安心しろ、という目をしているけど無事でいられる気がしない。

『キル、なるべく遠くまで走れる？このままだと吹き飛ばされるから。』

「吹き飛ぶぅ？？意味わかんねーんだけど。」

『いいから！私が重いなら下ろしてくれたら自分で走るし！！』

「そこまで必死になる？…わかったよ、でも下ろさないからな。下ろしたところで走れねーだろ。」

……まぁ、そうなんだけどね！