翔んで流星街！【H×H】 (ページ24)

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翔んで23話ページ24

ウヴォーギンは全速力で旅団(なかま)の待つアジトに向かっていた。
アジトとはいっても流星街にあるところとはまた別である。

ウヴォーギン――――――

“欲しいものは全部盗る”まさしく盗賊の鑑である。
性格も野性的で好戦的な男であった。

しかし…Aと出会って少しずつ変わっていった。

まず、所構わず盗むようなことは無くなった。直接やめろと言われたわけではないが、Aがあまりいい顔をしないからだ。
Aがいないところでは…まあ必要に応じて……という具合だ。

無用な闘いもあまりしなくなった。そんなことよりもAと過ごすことの方が楽しいと感じるようになったのである。闘うこと以外で楽しみを見出すのはウヴォーギンにとって初めてのことだった。

一緒に旅をして、食事をして、たまに口喧嘩もして…闘いと無縁な日々がこれほどに素晴らしいものだったのかと今更ながら思う。

親友のノブナガと過ごすことももちろん楽しいが、それとはまた違う楽しさ、歓びがあった。

なぜこんなにも心躍るのか…最初はわからなかったが、少しずつわかってきた。

きっと“恋”をしているから…

Aのことを好きだからなのだと。

だからこそ本当はAの傍にいたいし、役に立ちたいと思う。

「俺が命令を面倒だと思うなんて初めてだな…」

ウヴォーギンは独り呟く。

それにもう一つ、ウヴォーギンには不安があった。Aがウィリアムと話していたこと、

“元の世界に帰る方法ってあるんでしょうか…？”

この言葉が耳から離れないでいる。

流星街のやつらともすっかり打ち解けていたし、A自身もとても楽しそうにしていた。旅の道中も然り…。

Aはずっとこの世界にいるとなんの疑いも持っていなかったが、よくよく考えればAの故郷はここではない。帰りたいと思うのも当然である。

もしAがいなくなったら……きっと耐えられそうにない。

帰ってほしくない、ずっとここに、なんなら幻影旅団に入ってほしいとさえ思っている。

どうしても帰りたいというのであれば、せめて帰ってしまうその日まで一緒にいたい、思い出を残しておきたい。

だから…

「さっさと終わらせてAのとこに戻らねえとな…！！」

連絡先だって交換したのだ、少しくらい会えなくても大丈夫。

夜の帳が少しずつ下りてきていた―――――