翔んで流星街！【H×H】 (ページ13)

今日:23 hit、昨日:19 hit、合計:37,221 hit

翔んで12話ページ13

ピピピピ、ピピピピーーーーーーー

『うるさい………。』

取り敢えずアラーム止めなきゃ……

…………もうちょっとだけ寝よっかな……

………………寝よ…………

「8時だぞ。」

『…サーセン。』

ウヴォーが怖い顔で見下ろしてるから渋々起きることにした。この人、時間にだけは厳しいんだよね。

荷物も最終確認して……そうそう、この世界に来た時に着ていた振袖は例の追いはぎ２人組にあげたのだ。

本当はじーちゃんの大事な形見だったけど、私にはもう１つじーちゃんのハンターライセンスがあるし、ここの暮らしはやっぱり大変だから…。彼らに存分に役立ててもらった方がいいと思ったわけさ。(そもそも持ち歩くのもしんどいし……)

さーてと、チャチャッと準備を済ませていざ出発!

…のはずだったんだけど。

「よっ！もう出発するのかい？」

「忘れモンしてないかー？」

「Aちゃん元気でね！」

「おねえちゃん行っちゃやだよー！」

『皆…？！』

流星街――――

国際社会的には存在しないとされている場所。

きっとここは世界中のどこよりも過酷な環境だ。

でもその中でもお互いに助け合って生きている。

そう、まるで大きな“家族”のように…。

こんなよそ者の私のことも温かく受け入れてくれたのだ。

『やだなー、わざわざ来てくれなくても良かったのに。』

「黙って行こうとするなんてひどいよ！」

『よしよし、ごめんね？ちゃんと挨拶して行くから。…じゃあ行ってくるね！』

それじゃ、と言えば皆口々に行ってらっしゃいと声をかけてくれる。

誰かに送り出してもらうなんて久しぶりで、なんだか嬉しかった。

今度こそ歩き出そうとすると、再び声を掛けられた。

「ねえちゃん待ってくれよ！！」

『あ、追いはぎ２人組じゃん！どうしたの？』

「これ、持ってってくれ。」

そういって差し出してきたのは黒のダガーナイフだった。

柄から刀身全てが漆黒で、鞘にも素朴ながら繊細な装飾が施されている。

『こんな高そうなやつ…一体どうしたの？？』

「ねえちゃんにもらったキモノと交換してもらったんだ。」

「最初は売ろうかとも思ったんだが、なんだか忍びなくてな…。お前のじーさんの新しい形見だと思って一緒に連れて行ってやんな。」

『すごく綺麗……おじさん達ありがとうね！！大事にするよ！！
それじゃあ今度こそ、行ってきます！！！』

この世界に1つ、私の居場所ができました――――