あふれてしまう、そのまえに。〜7〜

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漸くテーマのテーマが決まり、ぞろぞろと外に出れば
まだ外は薄っすらと明るい。


「疲れたぁ。」
「なんか食べてくー？」


先を行く三坂さんと尾形さんの足がぴたりと止まる。


ガードレールの前に立つ人が
こちらをもの凄く凝視している。


「わぉ、男前っ。」


栗野さんが囁く。


グレーのスーツを崩すことなくぱりっと着こなし
清潔感のある黒髪に凛々しい目元。


Aはなんだか謎の胸騒ぎを覚えたが


「えー、と、どちらか、Aさん？ですか？」


その男前さんが辿々しい日本語でそう発した瞬間、その胸騒ぎが、腑に落ちた。


当然の如く周りの視線が集まったもんだから、その男前さんがAを見つめる。


「Aさん？」



「ー はい。」



返事をすると、ぱっと花が咲いたように笑顔になる。
俳優のような顔立ちが、いっきに親しみ易くなる。
と思うとつかつかと目の前に来て、両手で両手を握り締められた。


「ちょ、」
すぐ後ろ、沢くんが何か言おうとしたみたいだけれど


「やっとあえた、テヒョンのまちびとちゃん。はじめまして。」


それをかき消すような声。
やっぱりテヒョンくん繋がりの人だ、と思いながらAは握られた両手を預けたまま。


「はじめまして…えーと？」



「テヒョンの、おにいさん！です。」


きりっとした顔で言われる。

お兄さん、を強調されたけれど
テヒョンくんってお兄さんいたっけ？
Aは頭を捻る。


「いま、ここでいいから、すこしだけはなしたいです。」



「ええっと、」


お兄さんかどうかは置いておいて
きっと本当にテヒョンくんの知り合いの人だろうが
初対面のこの人の勢いに乗ってよいものかとAがたじろいだ。


のを、おそらく気付かれた。



両手をそっと離される。
離されて初めて、その大きな手が少しだけ汗ばんでいたと気付いた。


「いままで、いろいろきたでしょ？
ミカタか、テキか、よくわからないにんげん。」


頷くところなのかいまいち分からないまま
Aはただその瞳をじっと見つめる。



「でもいまここにいるのは、ぜんりょくでおうえんしてるにんげんです。

テヒョンとAさんを。」


そこまで聞いた栗野さんが、さっ行きましょー、と沢くんと山中くんの背中を押した。



「応援、ですか…？」


目の前、男前さんが自らの胸にばんっと手を置いた。


「ぜんりょくです。

だから、はなしたいです、

テヒョンの"しょうたい"を。」



テヒョンくんの、正体を。




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3→←全力で応援するって言われた。

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