やくそくができない。 ページ2
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カウンターの端と端で視線が重なる。
黒い髪が切れ長の瞳にかかり
形の良い唇が開いて
「ただいま、
Aちゃん。」
かけられた言葉にはっとなる。
「テヒョンくん…？日本に戻って来たんだね。」
「うん。」
「髪、黒くしたんだね。」
「うん。」
「＿＿＿お帰りなさい。」
それにゆっくり頷く目の前の人は
勿論テヒョンくんなんだけれど、
雰囲気がこうも変わるのかとAは戸惑う。
大人っぽい、というか、艶っぽい、というか。
黒髪のテヒョンくんはなんだか危なげな色気を纏っている。
「Aちゃんも、かみのけかわった。
きれい。となり、いいです？」
さらりと殺し文句を言われて頷くと、
テヒョンくんは隣に座る。
ふわりと大好きな匂いがした。
オーナーに
「ぼくもAちゃんとおなじのください。」
そう頼んで、すぐ隣で見つめる瞳に
Aはミルクレープの皿に視線を落とす。
「これが来たからびっくりした、美味しそう。」
「いちどやってみたかった
あちらのおきゃくさまからって。
ひとつもくひょうたっせい、しました。」
言いながらもひたすら見つめられているのを感じて、Aはばっさり切ったこの髪型、可笑しかったかなという疑惑すら浮かびながら、
「クレープありがとう。」
それだけはしっかり伝えた。
ーことっ、
陶器の擦れる音がして、テヒョンくんの前に置かれたのは
「確かテヒョン君も飲むのは初めてだったかな。カルモシモサカ。お待たせしました。」
Aと同じコーヒーだ。
Aはあとふた口程残ったコーヒーを飲んで
「テヒョンくん、コーヒー飲むようになったの？」
問いかけた。
「のまないです。
Aちゃんとおなじののんでみたかっただけ。」
テヒョンくんは言うと、ちょっとだけ舐めるように深い藍色のカップに口をつける。
ちょっと待て、この横顔、絵にして飾りたいぞ
と、Aは見惚れる。
まさかコーヒーを飲めない人とは微塵も感じさせない一連の流れの後、
「わ、」
テヒョンくんは呟き、唇を結ぶ。
「にがい、」
「苦いよね、でもしばらくすると奥に甘いのが来たよ。私、舌が育ってきたかな。」
最後のひと口を流し込み、得意げに言うと
カウンター奥でオーナーが笑ったのが見えた。
「ほんと？あまいのくる？」
言いながら
テヒョンくんはちろ、と舐めるようにまたカップに口づけた。
「わ、にがい、」
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おけ(プロフ) - 一気に読みました‼︎面白いです！更新待ってます‼︎ (2022年1月17日 18時) (
レス) @page33 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
みたろう(プロフ) - このお話大好きで何度も読み返しています。更新楽しみに待っています。 (2021年12月19日 2時) (レス) @page33 id: a75885931d (このIDを非表示/違反報告)
みあも(プロフ) - 途中途中泣きながらここまで一気読みしました。切なすぎて苦しいです(; ;)更新楽しみに待ってます！二人が幸せになれますように！！ (2021年4月30日 7時) (レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
ララ - 1からここまで、イッキ読みでした！本当に、キュンキュンするだけじゃなくて、お話そのものが綺麗で、大好きです！ラスト更新、ずっと楽しみにしています！ (2021年1月31日 11時) (レス) id: 0d04b07c3e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - 素敵なお話にどんどん引き込まれて、1話から一気に読んでしまいました。読めば読むほど2人の未来は？！2人の幸せは？！と気付けば涙腺まで揺さぶられました。ラスト、2人の幸せを願いながら待ってます！ (2020年12月9日 6時) (レス) id: 57a24d82e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽるこ
| 作成日時：2019年8月25日 16時
