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大きな手ですっぽりと手を包まれて、
改札に向けて歩くテヒョンくんに引かれて
Aの足が、前に出た。


何処に移動するのだろうという疑問が浮かんだけれど
それを分かった様に
テヒョンくんが後ろを振り返っていひっと笑ってみせるから
うん。いい。何処だっていいや。とつられて笑ってしまう。



綺麗な黒髪だなあ。
染めてよくこう傷まないでいられるなぁ。
キューティクルが違うのかなぁ。


ぽおっとその後ろ姿を眺め歩く。


歩きながら頭と心を整理する。
今からテヒョンくんに伝えるのだ、と。
それは、今までどちらも話さなかった" これから "のこと。


会いたい時に会える今だから。
この今を大事にするのだ。


そんなことを思うと自然と唇に力が入り

Aはその力を抜くように息を吐く。


息を吐いてまた視線を上げ
目の前のテヒョンくんが改札に入ろうとした瞬間、



ー とんっ、


そのテヒョンくんの体が揺れて


「…、」


一瞬で視界に入ったのは、1人の女性。


その女性がテヒョンくんをしっかり抱き締めてから
ゆっくりと顔を上げる。


そのあまりに綺麗な横顔にAは、はっとなる。


ネイビーの程よく光沢のあるワンピースに
ボブの髪を品良く耳にかけて
その耳にはパールがまったりと輝く。


先程の振動で繋いでいた手が離れて
Aの行き場を無くしたその手は、力無くぷらんと下ろすしかなかった。


唐突に抱き締められたにも関わらず
特に驚きもせずに


テヒョンくんはその女性の肩にそっと手を置いた。


それで
大切な存在なのだな、と直ぐに分かってしまう。



「찾았다、わたしの、テヒョンア。」



形の良い唇から透き通るように発せられた声。
ゆっくりと、落ち着いた声。
これは愛する人を呼ぶ、そんな声だ。



そして涼し気な瞳がAに、すう、と移り
その人は、ふっ、と笑ってみせた。



あれ、とAは女性を見つめる。



この感じ、さっきからずっと。
変だ。



だって、




ー だって私、この、初めて会った筈の人に
さっきからずっと、




どきどきしている。ー



.

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おけ(プロフ) - 一気に読みました‼︎面白いです!更新待ってます‼︎ (2022年1月17日 18時) (レス) @page33 id: a8986157d1 (このIDを非表示/違反報告)
みたろう(プロフ) - このお話大好きで何度も読み返しています。更新楽しみに待っています。 (2021年12月19日 2時) (レス) @page33 id: a75885931d (このIDを非表示/違反報告)
みあも(プロフ) - 途中途中泣きながらここまで一気読みしました。切なすぎて苦しいです(; ;)更新楽しみに待ってます!二人が幸せになれますように!! (2021年4月30日 7時) (レス) id: 2123f5cbc8 (このIDを非表示/違反報告)
ララ - 1からここまで、イッキ読みでした!本当に、キュンキュンするだけじゃなくて、お話そのものが綺麗で、大好きです!ラスト更新、ずっと楽しみにしています! (2021年1月31日 11時) (レス) id: 0d04b07c3e (このIDを非表示/違反報告)
ナナ - 素敵なお話にどんどん引き込まれて、1話から一気に読んでしまいました。読めば読むほど2人の未来は?!2人の幸せは?!と気付けば涙腺まで揺さぶられました。ラスト、2人の幸せを願いながら待ってます! (2020年12月9日 6時) (レス) id: 57a24d82e0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽるこ | 作成日時:2019年8月25日 16時

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