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夢と現実の狭間で ページ37

身体も、頭もふわふわとまどろむ中


ぱちりと目を覚ます。



ダウンライトだけの明かりの中
隣で寝息を立てている姿を見て、安堵する。


人形の様な美しさに感心しながら
同時に安心しきった寝顔は幼く見えて


かわいいな。とAは顔が緩む。



しかしすぐに

怖いくらいの色気と
時間をかけて食べられているかのようなあの初めての感覚をしっかり思い出し
更には散々に乱れたであろう自らの姿までも思い出し


ぐりんっと逆を向く。


が、呆気なく引き寄せられ後ろからしっかと抱き締められて


その体温と背中から伝わる、とくとく、という鼓動がなんとも心地良くて


Aはまた瞼を閉じる。


時間の感覚が無いまま
次に目を開けたとき
Aの髪を優しくいじっているテヒョンくんとばっちり目が合ってしまい、


瞬間どんな顔をすればよいか分からなくなったけれど

テヒョンくんがあんまり嬉しそうに柔らかく笑うから
Aも一緒に笑った。



その後一緒にお風呂入ろう?ととんでもなく可愛くお願いされたけれど、
そればかりはやはりどうしたって恥ずかしく丁重に丁重にお断りして、


それぞれにシャワーを浴びて
ルームサービスを頼んで遅い夕飯を食べながら
2人は時間を惜しむように沢山の話をした。


でもそれはすべて" 今までのこと "。

これからのことはどちらとも何も話さなかった。


気付くとベッドサイドのデジタル時計の時刻は0時半を過ぎていて

どんなに願ったって1秒も止めることは出来ない。


Aは、時間って残酷だ、と心底そう思った。



お互いになんとなく話が途切れて
途切れたまま止まって
同じバスローブ姿のまま見つめ合う形で

テヒョンくんの瞳の色が変わった。
こうなるとAは瞬きが出来なくなる。


「Aちゃん、からだ、だいじょうぶ?」


耳の奥が痺れる響きにこくりと頷き
Aは身体の奥が熱くなるのを感じる。



今だけは他に何も考えない。


今だけはこの人だけを感じていたい。



髪に、すっと手を入れ、その手が耳を撫でる。

と、おでこにおでこを当てられて、
唐突にぐりぐりっとするから
至近距離で、わわっ、という声が出てしまい
テヒョンくんはひひっと笑う。



「Aちゃん、あいしてる。」



「…」



初めて言われた、ふいに言われたそれに、Aは息を呑んでから


「私、テヒョンくんを」


言葉を繋げる。


ー サランヘヨ ー


너무 너무 사랑해요






そして2人はまた唇を重ねていく。



.

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ミキ(プロフ) - えっ、えっ!ぽるこさん、私なんかにそんなお言葉(感涙)…冥土の土産にしますっ!6章のラスト!!大好きな感じですっ。ぽるこさんの言う、勝手に登場人物達が動いてる感覚?言葉が降りてきてるのですね!まさに神がかってる!噛み締めて読んで、余韻に浸ってます♪ (2019年8月25日 23時) (レス) id: be38181257 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - リオさん» まだ楽しめる、その様に受け止めて頂けましたか…涙。一体いつ終わるのかと作者すら感じている中なんだか救われました。ある意味生きもの、正にそれです。要は作者が1番楽しんでるのです。とても素敵な目の醒めるコメント、感謝します。 (2019年8月25日 16時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 次章もまだまだ楽しめるんですね!うれしいです!作者様の仰る事分かります。登場人物が勝手に動くというやつです。この作品読んでると脳内で勝手に映像化されますもん。ある意味生きものなのでしょうね。それぞれに心がありますし。とても素敵な作品ですね。 (2019年8月25日 9時) (レス) id: ba173bb279 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - ミキさん» ミキさんの綴るお話が読んでみたいと思う作者です。いつも胸に響くコメントの文面、作者には勿体無い位。温かい応援をありがとうございます。最終章でお待ちしてますね! (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - マミさん» 作者も、早くラストを迎えたいような迎えたくないような、そんな中亀のように進めております。温かいコメントを胸に更新頻度を上げつつ突き進みますね!ありがとうございます! (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽるこ | 作成日時:2019年5月20日 19時

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