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「…お邪魔します。」
しんと静まり返った一軒家は、やはり誰もいない。
暫く抱きしめ合う中ふとテヒョンくんが落とした、なかにはいろう？という言葉に
Aは離れ難い気持ちを押し殺しこくこくと頷いた。
テヒョンくんのお祖父さんが
今は殆ど1人で守っていたこの家と畑。
そのお祖父さんが入院してからは、叔父さん夫婦がたまに管理しに訪れるだけなのだそう。
以前は野菜や果物を何種類も育てていて
この辺りでは名のある農家だったが、今残ったのはひまわりだけで。
早ければ来年にはこの土地は全て叔父さん夫婦に引き渡すことになったのだと
テヒョンくんはそう言った。
「じゃああのひまわり畑は…」
「ひまわりは、のこすよ。
あれはおばあちゃんの"たから"だったから。」
Aの顔を覗き込んで、いっと口角を上げる。
あの立派に育てられたひまわりがなくならないことに安心したAは
「ここ、ぼくのへやでした。」
その声に開けられたドアの先を見る。
6,7畳程の部屋に、机と、布団の無いベッド。
物は殆ど残されていないのに、壁には大小様々な額縁が所狭しと飾られている。
額縁は、全て
「写真…もしかしてテヒョンくんが撮ったの？」
テヒョンくんはなんだか懐かしい友人にでも再会したかのように写真を眺め、うん、と頷く。
「テヒョンくん、プロだ、」
大袈裟では無く出た言葉に
テヒョンくんは、
「ほんと？ありがとう。」
と言って、照れたようにふっと笑う。
色鮮やかな夜空、
モノクロの街並み、
ひまわり畑を背景に照れたように並ぶ老夫婦、
嬉しそうに見上げる犬、
テヒョンくんの目に映ってきた世界が並ぶ。
「ー これ、」
ひと際大きな額縁にAの視線が止まる。
何処かの海岸に、1台の白い車と、
じゃれ合うように笑い合う人達。
「これ、テヒョンくん？」
その中に
なんだか幼い、しかし変わらぬ笑顔を見つけて
Aが聞くと
「ジミナやグギも、
としもばらばらだけど、みんなこうこうのなかま。」
この説明に改めてよく見ると、ジミンくん、ジョングクくんがいて。
他の人は知らないが、
「テヒョンくんはいい仲間がこんなにいるんだね。」
写真の中の空気につられて笑顔が出る。
「Aちゃんも、すごくいいともだち、いるよね。」
「ん？」
聞き返しぱちりと目が合うと、テヒョンくんは
「おなかすいたね。」
そう言って腕時計を見た。
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ミキ(プロフ) - えっ、えっ！ぽるこさん、私なんかにそんなお言葉(感涙)…冥土の土産にしますっ！6章のラスト！！大好きな感じですっ。ぽるこさんの言う、勝手に登場人物達が動いてる感覚？言葉が降りてきてるのですね！まさに神がかってる！噛み締めて読んで、余韻に浸ってます♪ (2019年8月25日 23時) (
レス) id: be38181257 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - リオさん» まだ楽しめる、その様に受け止めて頂けましたか…涙。一体いつ終わるのかと作者すら感じている中なんだか救われました。ある意味生きもの、正にそれです。要は作者が1番楽しんでるのです。とても素敵な目の醒めるコメント、感謝します。 (2019年8月25日 16時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 次章もまだまだ楽しめるんですね！うれしいです！作者様の仰る事分かります。登場人物が勝手に動くというやつです。この作品読んでると脳内で勝手に映像化されますもん。ある意味生きものなのでしょうね。それぞれに心がありますし。とても素敵な作品ですね。 (2019年8月25日 9時) (レス) id: ba173bb279 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - ミキさん» ミキさんの綴るお話が読んでみたいと思う作者です。いつも胸に響くコメントの文面、作者には勿体無い位。温かい応援をありがとうございます。最終章でお待ちしてますね！ (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - マミさん» 作者も、早くラストを迎えたいような迎えたくないような、そんな中亀のように進めております。温かいコメントを胸に更新頻度を上げつつ突き進みますね！ありがとうございます！ (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽるこ
| 作成日時：2019年5月20日 19時
