どんなラストがいい? ページ23
「おじいさん、私、誰とも待ち合わせはしてません。」
Aがそう返すと、その老人は表情を変えぬまま
「だれかをまっているようにみえるがな。」
そう言うとポケットから折り畳まれたものを出した。
震える手で出される紙を見つめてから、
Aはぱっと立ち上がり、その紙を受け取る。
「ここからタクシーで15ふんもしない。」
「これは何処ですか?」
開くと手描きであろう簡単な地図が書いてある。
「わたしのゆうじんのいえだ。」
「友人…」
聖堂の中、お互いの声が響き合い、目の前には不思議な老人。
この現実離れした空間にAは映画の世界にでも入った様な錯覚に陥る。
「おじいさんの、ご友人ですか?」
「えらくとしのはなれた、ゆうじんだ。」
Aの言葉に老人は会ってから初めての笑みを浮かべる。
目尻の皺が深くなるのに、笑うとどうしてか子供の様にも見える。
「ここにいても、まちびとはこない。もうすぐミサもはじまる。」
だからこの地図の場所に行きなさいということなのか、この老人の友人の家に。
確実に不可解な流れであるのに
Aにはこの人が" 検討はずれ"なことを言ってるとは、どうにも思えない。
「おじいさん、私のことを、知っていますか?」
Aは不思議なこの人に、不思議な問いかけをしてみると
老人は息を吐き微笑むだけで
「わたしのやくめはここまでだよ。」
答えは返ってこないまま
「さあ、あうべきひとに、あっておいで。」
その声が静かに優しく響いた。
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ミキ(プロフ) - えっ、えっ!ぽるこさん、私なんかにそんなお言葉(感涙)…冥土の土産にしますっ!6章のラスト!!大好きな感じですっ。ぽるこさんの言う、勝手に登場人物達が動いてる感覚?言葉が降りてきてるのですね!まさに神がかってる!噛み締めて読んで、余韻に浸ってます♪ (2019年8月25日 23時) (レス) id: be38181257 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - リオさん» まだ楽しめる、その様に受け止めて頂けましたか…涙。一体いつ終わるのかと作者すら感じている中なんだか救われました。ある意味生きもの、正にそれです。要は作者が1番楽しんでるのです。とても素敵な目の醒めるコメント、感謝します。 (2019年8月25日 16時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 次章もまだまだ楽しめるんですね!うれしいです!作者様の仰る事分かります。登場人物が勝手に動くというやつです。この作品読んでると脳内で勝手に映像化されますもん。ある意味生きものなのでしょうね。それぞれに心がありますし。とても素敵な作品ですね。 (2019年8月25日 9時) (レス) id: ba173bb279 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - ミキさん» ミキさんの綴るお話が読んでみたいと思う作者です。いつも胸に響くコメントの文面、作者には勿体無い位。温かい応援をありがとうございます。最終章でお待ちしてますね! (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - マミさん» 作者も、早くラストを迎えたいような迎えたくないような、そんな中亀のように進めております。温かいコメントを胸に更新頻度を上げつつ突き進みますね!ありがとうございます! (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽるこ | 作成日時:2019年5月20日 19時