How to fight AYANO. ページ8
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4時過ぎ、太陽はまだ高く地上を照りつける。
ソウルからバスで約30分。
江南。
ビジネス街でもあるここは高層ビルが立ち並ぶ。
その中の1つ。
世界展開している大手化粧品ブランドの、本社。
臆する事なく、巨大なガラスの回転ドアを通り
グレーのパンツスーツ
長い髪を靡かせ
高いヒールを響かせる音。
吹き抜けになっているビル内は
音がよく反響する。
真っ直ぐ向かうは目の前の受付。
それはそれは見目麗しいお嬢さんが2人腰掛けている。
『お会いしたい方がいます。』
その韓国語はネイティヴとは言えないが
聞き取りやすく、受付嬢はにこりと笑顔で対応する。
『はい、どちらの課でしょう。』
『課、ああ、今はどこになるのかしらね?』
如何にも仕事の出来そうな訪問客から出た
間の抜けた返事。
『アポイントは取っておられますか?』
『取ってません。今日そろそろここに来る筈ですから。なんならここで待たせて頂こうと思います。』
これまでにこやかだった受付嬢の表情が
にわかに曇る。
それを察知して先回りする訪問客。
『申し遅れました。私、こういう者です。上の方に通してもらって大丈夫です。』
そして自らの名刺と所属する会社の資料を
手慣れた流れで出す。
『日本の…
営業は個人で来られましても対応し兼ねますので、申し訳ありませんが改めて上の者を通して頂けますでしょうか。』
ロビーには、自社のカードを首から下げた社員達が
行き来する。
『だから、今、その相手を待ってるのよ。申し分無い相手をね。』
巨大なエレベーターの前に立つ警備員に視線を送る受付嬢。
警備員がその視線に気付いた時。
ドアから入って来た3人組。
警備員は針金が入っているかの様なお辞儀を披露する。
ロビーにいた社員達が弱冠浮き足立ち道を空け始める。
受付嬢2人も椅子から立ち上がる。
SPと思わしき、黒いスーツのがたいの良い男性2人の間。
携帯で話しているその人を見て
不審者扱いをされかかった訪問客は
しめた、と不敵な笑みを浮かべ
迷わず足を進める。
受付嬢も警備員も、あ、と思うがもう遅い。
『ちょっといいですか。』
よく通る綺麗な韓国語に、
SPが先に反応して壁を作る。
『違うわ。あなた達じゃなくて、後ろの次期社長に言ってます。』
動じないその声。
『仕事の話です。直接交渉しに来ました。』
SPが1人残り、もう1人は次期社長と先に進もうとする。
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ミキ(プロフ) - えっ、えっ!ぽるこさん、私なんかにそんなお言葉(感涙)…冥土の土産にしますっ!6章のラスト!!大好きな感じですっ。ぽるこさんの言う、勝手に登場人物達が動いてる感覚?言葉が降りてきてるのですね!まさに神がかってる!噛み締めて読んで、余韻に浸ってます♪ (2019年8月25日 23時) (レス) id: be38181257 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - リオさん» まだ楽しめる、その様に受け止めて頂けましたか…涙。一体いつ終わるのかと作者すら感じている中なんだか救われました。ある意味生きもの、正にそれです。要は作者が1番楽しんでるのです。とても素敵な目の醒めるコメント、感謝します。 (2019年8月25日 16時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 次章もまだまだ楽しめるんですね!うれしいです!作者様の仰る事分かります。登場人物が勝手に動くというやつです。この作品読んでると脳内で勝手に映像化されますもん。ある意味生きものなのでしょうね。それぞれに心がありますし。とても素敵な作品ですね。 (2019年8月25日 9時) (レス) id: ba173bb279 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - ミキさん» ミキさんの綴るお話が読んでみたいと思う作者です。いつも胸に響くコメントの文面、作者には勿体無い位。温かい応援をありがとうございます。最終章でお待ちしてますね! (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - マミさん» 作者も、早くラストを迎えたいような迎えたくないような、そんな中亀のように進めております。温かいコメントを胸に更新頻度を上げつつ突き進みますね!ありがとうございます! (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽるこ | 作成日時:2019年5月20日 19時