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「はい、日本人です。」
Aの答えに、軽く頷くその人は
「にほんごならたぶんだいじょうぶですから、なにかこまってたらおやくにたてます。」
そう続けた。
「あり…カムサハムニダ。」
Aが頭を下げると、栗野さんも頭を下げ
「私が飛行機が苦手でちょっとダウンしていただけです、大丈夫です。」
少し体を起こしてそう伝えた。
「あー…ひこうき、それはたいへんでしたね。
このあとおひる、どこかおみせきまってますか？」
きちっとセットされた茶色がかった短い髪。
きっと仕事で海外を行き来しているのだろう、
そんな雰囲気を感じながらAは首を横に振る。
「いえまだ、行き当たりばったりの旅です。」
「ではもしよかったら、ここがおすすめです。ゆっくりできますから。」
そう言って、しっかり手入れされた艶のある皮のビジネスバッグから
お店のであろう地図が記載された名刺のようなものを手渡す。
「あ、ありが、カムサハムニダ、」
さっきからそれしか出てこないAに
にこりと笑って
「なにかのごえんです。
Welcome to Korea,Have a nice trip.」
流暢な英語を残して行ってしまった。
「親切な人でしたね…ていうか、スタイルがなんかもうモデルさんでしたね。」
栗野さん、少し元気が出た様子。
「ていうかえらいスマートなナンパだこと。」
横であやのがほくそ笑む。
Aがいつの間にそこに、と思えば
「変な男には見えないから放置したけどね。
あちらさんは私も一緒だと気付いてたわ、去り際会釈されたから。」
そう言って、どれ、と店の名刺を眺める。
「いやいやナンパじゃないでしょ。」
ひと呼吸遅れたAの突っ込みに
「当たり前、あれは女に困ってない。」と半ば適当に返し
「ソウル駅からすぐか。ここに決めたわ。」
そう言ってから
あやのはAと栗野さんを見る。
「で？2人はダーリンズには連絡したの。」
まるで蛇に睨まれたかのように沈黙が訪れた。
「まさかとは思うけど、A、今もテテ君の番号知らないわけ。」
「…そうだよ。」
即答するAにあやのは特に反応せず、栗野さんに目を向ける。
「まさかとは思うけど、あなた、彼氏の携帯番号知らないわけ無いわよね。」
栗野さんが肩をすくめる。
「や、えっと、番号は知ってますけど、私からかけたことないですし…」
「かけてみたら？」
「ここ、韓国なんで…」
あやのの眉間に皺が寄る。
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ミキ(プロフ) - えっ、えっ！ぽるこさん、私なんかにそんなお言葉(感涙)…冥土の土産にしますっ！6章のラスト！！大好きな感じですっ。ぽるこさんの言う、勝手に登場人物達が動いてる感覚？言葉が降りてきてるのですね！まさに神がかってる！噛み締めて読んで、余韻に浸ってます♪ (2019年8月25日 23時) (
レス) id: be38181257 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - リオさん» まだ楽しめる、その様に受け止めて頂けましたか…涙。一体いつ終わるのかと作者すら感じている中なんだか救われました。ある意味生きもの、正にそれです。要は作者が1番楽しんでるのです。とても素敵な目の醒めるコメント、感謝します。 (2019年8月25日 16時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 次章もまだまだ楽しめるんですね！うれしいです！作者様の仰る事分かります。登場人物が勝手に動くというやつです。この作品読んでると脳内で勝手に映像化されますもん。ある意味生きものなのでしょうね。それぞれに心がありますし。とても素敵な作品ですね。 (2019年8月25日 9時) (レス) id: ba173bb279 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - ミキさん» ミキさんの綴るお話が読んでみたいと思う作者です。いつも胸に響くコメントの文面、作者には勿体無い位。温かい応援をありがとうございます。最終章でお待ちしてますね！ (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - マミさん» 作者も、早くラストを迎えたいような迎えたくないような、そんな中亀のように進めております。温かいコメントを胸に更新頻度を上げつつ突き進みますね！ありがとうございます！ (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽるこ
| 作成日時：2019年5月20日 19時
