え？帰らない？ ページ17
蝉がけたたましく鳴く中、
ひたすら登り、では無く下り続けるは108段の階段。
ジョングクくん達と別れた後
ジミンくんはAの足元を見て親指を立ててみせた。
「スニーカー、ぼうし、わかってるね。
Aちゃん、きょうはあるくよ。
じしんある？」
Aをからかうような調子だったのは始めだけで
そもそもそれもAが変な緊張感を露わにしたから
で。
ー 釜山で僕の所縁の場所巡りしたってつまらないでしょ？
それはテヒョンの故郷、大邱でしたいよねぇ。ー
と、そう言われてしまった。
だからつまり
今日はしっかり観光モードで、だそう。
「ぼくもくるまできてもよかったけど、それだといけないとこがおおいんだよね。
カップルだったら、ビーチとかサウナとかあるけど、Aちゃん、きっとことわるからね。」
普段からダンスで鍛えているであろうジミンくんは
息を切らすことなく、まさに軽やかな足取りで少し前を行く。
Aの手荷物を持って。
「断るの？私？」
息を整え尋ねる。
「ビーチでみずぎきる？
だんじょけんようサウナはいる？」
「いえ、着ません、入りません。」
「ほらねー。」
嬉しそうに笑うジミンくんが
「ついたよ、よくがんばったね。」
そう言って両手をうんと上に伸ばした。
夏の青い海を背景に厳かな佇まいの建物が並ぶ。
ここ海東龍宮寺は海沿いにあるお寺。
絶景で観光客にも人気なのだそう。
岩に打ちつける波の音がすぐ近くに聞こえる。
周りを見渡すと、写真を撮る人達が多い。
「ぼくもひさしぶりなんだよね。テヒョンとここにきたときいらい。
そのときテヒョンはしゃしん、とってたよ。」
そう話してジミンくんは小首を傾げる。
「このけしきもみせたかったけどね、もくてきはもうひとつあるんだよね。
Aちゃん、いまいちばんほしいものはなに？」
Aはジミンくんから受け取った自分のバッグからミニタオルを出し、額の汗を拭いていた。
「欲しいものって？」
「ここはね、ひとつだけねがいごとがかなうばしょだからね。ほんとうにかなっちゃうよ。」
ぽかんとなるAに、
ジミンくんは、ひとつだけ、と人差し指を立てふふっと笑った。
「ぼくもかなったし、テヒョンもね。」
「テヒョンくんも…」
自分の願いごとよりも
テヒョンくんは何を願ったのだろう、と考えるA。
「それがかなったからAちゃんが
いまここにいるんだよね。」
.
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ミキ(プロフ) - えっ、えっ！ぽるこさん、私なんかにそんなお言葉(感涙)…冥土の土産にしますっ！6章のラスト！！大好きな感じですっ。ぽるこさんの言う、勝手に登場人物達が動いてる感覚？言葉が降りてきてるのですね！まさに神がかってる！噛み締めて読んで、余韻に浸ってます♪ (2019年8月25日 23時) (
レス) id: be38181257 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - リオさん» まだ楽しめる、その様に受け止めて頂けましたか…涙。一体いつ終わるのかと作者すら感じている中なんだか救われました。ある意味生きもの、正にそれです。要は作者が1番楽しんでるのです。とても素敵な目の醒めるコメント、感謝します。 (2019年8月25日 16時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - 次章もまだまだ楽しめるんですね！うれしいです！作者様の仰る事分かります。登場人物が勝手に動くというやつです。この作品読んでると脳内で勝手に映像化されますもん。ある意味生きものなのでしょうね。それぞれに心がありますし。とても素敵な作品ですね。 (2019年8月25日 9時) (レス) id: ba173bb279 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - ミキさん» ミキさんの綴るお話が読んでみたいと思う作者です。いつも胸に響くコメントの文面、作者には勿体無い位。温かい応援をありがとうございます。最終章でお待ちしてますね！ (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽるこ(プロフ) - マミさん» 作者も、早くラストを迎えたいような迎えたくないような、そんな中亀のように進めております。温かいコメントを胸に更新頻度を上げつつ突き進みますね！ありがとうございます！ (2019年8月25日 1時) (レス) id: 0ba6c9eae1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぽるこ
| 作成日時：2019年5月20日 19時
