あふれてしまう、そのまえに。 (ページ43)

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「おーまーたーせー！」

さっきと変わらないテンションに少し助けられた気分のA。

何やらとてもいい匂いと一緒に、あの店員さんがやってきた。

「焼きたてあっつあつのピザと、

こちらはオーナーからサービスの生ハムサラダと

ほいでもってこれは私からサービスね！」

ずらり並ぶテーブルの上。

どれも美味しそうなのは勿論。

盛り付けにこだわりを感じる。

「わあ、

みさとさんのこれ！」

店員さんサービスのタンドリーチキン？に

目を輝かせるテヒョンくん。

「テヒョンくんのお気に入りのだから、Aちゃんも是非食べてみてね。

ドリンクおかわりいる？」

「いつもの、おかわりおねがいします！」

「はいはい、テヒョンくん、いつものコーラね。
Aちゃんは？」

やっぱりコーラだったんだ

と思いながら、Aはハイボールを頼んだ。

頼んでから、

こういうとき、女性ばかりアルコール飲むのって

どうなんだ？

と、ふと思ったけれど。

目の前のテヒョンくんは、

目の前のご馳走にしか気を取られていないようなので

まぁいっか、と思うことに。

別に、デートとかじゃないんだから。

私、お酒はそこそこ強いし、

失態は犯したことないし。

いいよね。

そんなAはまだ知らなかったのだ。

お酒の魔力を。

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