あふれてしまう、そのまえに。 (ページ21)

今日:7 hit、昨日:60 hit、合計:634,716 hit

4 ページ21

「月曜日はお休みなんですよ。テヒョン君。」

マスターは人の心が読めるのだろうか、
それともよほど顔に出ているのだろうか。

「そうなんですね、」

別に彼に会いに来たわけではなく、
先日のお礼を兼ねて
今日はお客さんとして来たかったのだ。

が、いないといないで少しだけ拍子抜け。

そうか、毎日いるわけではないんだ。
と思いながら店を見渡す。

今日は彼の替わりに、
30代位のとても可愛らしい小柄な女性が
あくせくと店内を動き回っている。

カウンターのお客さんが2人共いなくなって

マスターが目の前に来た。

「先日はありがとうございます。」

言わんとしていた台詞を先に言われ、
焦るA。

「いえ、こちらこそ…！先日のお礼をお伝えしたくて…今日はお客さんできました、
あの、これ」

Aは椅子の後ろに置いてある紙袋を出す。

「あの、これよろしければ、休憩時間にでも、食べてくださいっ。」

側から見たら、

オーナーのファンかと思われるだろう。

オーナーは紙袋を受け取り、
目尻を下げる。

「これはこれは…
ありがとうございます。

テヒョン君に怒られそうですね。」

はは、と笑い

「これは明日頂いても大丈夫でしょうか。」

聞かれ、大丈夫です、と答える。

.