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『考えながらなので、文章が乱れているでしょうがお許しください。本来は、しっかりと文面を決めて丁寧に清書すべきなのでしょうけども、特に宛先は決めていませんし、燃やされるかもわかりませんし、とりあえず私がすっきりしたいだけなのでこれで良いでしょう。読んでくれている貴方への手紙です。気が向いたら清書します。
初めに書き残しておきたいことは、感謝です。裏図書(この呼び名、本当は不適切ですが)の皆様、受け入れてくれてありがとうございます。これからも、どうかよろしくお願いいたします。
私はどうも、感謝を伝えることが下手なようですね。文章に起こすと、何だか淡白になってしまいます。
もう1つ、統制機関側についた、かつての仲間へ。半ば裏切るようなかたちになってしまい、本当にごめんなさい。私は物事は常にはっきりさせるように心がけていますが、この事に関しては、ぎりぎりまでどっちつかずな立場を取ってしまいました。それくらい、悩んでしまいました。
できれば、貴方たちと分かり合いたいと思っていたのです。いや、こんな過去形で言うと、もう諦めたようになってしまいますね。今だって、できれば分かり合いたいです。しかし、もはや割り切るべきかもしれません。分かり合いたいといいながら、貴方たちの主張を飲むことはできないのですから。単なる私のエゴです。
大戦争が終わったとき、私は、いや世界の皆、もう戦いは二度と体験したくないと思ったはずですが、結局今でも争い続けていることが、何となく虚しく感じます。もうかつてのような国家間の戦争は起きないでしょうけど、結局内部で線が引かれて諍いは止まなくて、いったい、同盟がやっていることは意味があるのかどうか。統一語だってそうです。大戦争より前の時代、言語学者たちは消滅危機言語の保存に奔走していました。それは、言語には文化や歴史が映し出されているからです。そこに学術的価値、いや、価値があるなしに関係なく、そのままでは消えていくものに手を伸ばし、残そうとした人たちがいたのです。その事実を、連盟は何ら汲まないのでしょうか？ 言葉が同じなら、私たちは本当にわかりあえますか？ 私は、日本語を使う者同士なのに、他者と決定的に分かり合えなかったことがありましたが。』
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