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「嫌やけど」
『はー？』
寒いの心配してくれるんやったら、貸してくれるくらいしてくれたっていいじゃないか。ハイネックパーカーに顎まで埋めた小憎たらしいその顔を、むす、と見つめる。
そんな私を見て、ゾムはきょろきょろ周りを見回すと「アイツらとかなら貸してくれるやろ」と言った。
ゾムが指したところには、ファーが付いた紫のアウターと茶色のロングコートの背中が見えた。
その2人、ショッピとチーノの元に私は近付いた。
飯を食い終わって二次会にでも行こうかとショッピと立っていれば、Aさんが近付いてきた。寒いのだろう、その顔は鼻をはじめとした至る部分が真っ赤になっていた。
「ちょ、Aさん寒くないんすか」
「顔真っ赤やないですか！」
『だいじょぶだいじょぶ』
心配の声を上げる俺とショッピを他所に、どこか適当な雰囲気で返事をするAさん。じぃと見つめられて、ショッピと首を傾げていれば口を開いた。
『チーノの上着に糸付いてんの見えて気になったんよ』
「え、まじすか」
『ほら、貸して』
ちょいちょい手を出して上着を渡すように促された。
正直寒いのでこのまま取って貰いたかったが、自分より小柄なAさんに背伸びをさせてまで取って貰う訳にもいかないため、大人しく脱いで手渡した。
受け取ったコートをごそごそ持ち替えて背中側を見ると、真っ赤になった手で糸くずを取っていた。可愛らしく桃色に染められた指先は、痛々しさすら感じる程赤かった。
カイロか何かあったか？と考えた時、Aさんがぺっと糸くずを捨てた。少しずつ寒さを感じてきていたので、早いとこ返してもらおうと手を出した。だが、Aさんはそんな俺を一瞬だけ見て何故かコートに腕を通した。
「え？」
『んぁーやっぱデカいわ』
身長差のせいで全くサイズが合っていない。その事に文句を零しつつ、Aさんは余りに余った袖振った。
全く思考が追いついていないが、とりあえず俺は『糸を取ってあげる』という大義名分の元、追い剥ぎに遭ったらしい。ひたすらに寒い。
「ちょ、え、さむ」
『チーノが着とったから暖かいっちゃ暖かいな』
「サイズでか」
『それ。チーノ巨人すぎる』
1人だけ腕を摩りながら見ていれば、Aさんがショッピと悪態を突き始める。剥いで取っていったくせに、文句たらたらされた事に俺は怒ってもええよな。
嘘やん、とコートを脱いで渡してしまった事を後悔する俺を他所に、Aさんはショッピと話している。というかショッピも同じ目に遭ってしまえばいいのに。
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ぽんず(プロフ) - ゆゆしきさん» んふふ。照れるネタ考えたんだから、せっかくだしぶち込め！精神で書きました。文章綺麗はまじで嬉しい褒め言葉ですありがとう。どんどん解像度上げてってもろて。 (7月24日 22時) (
レス) id: 1d8d6127fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - たじろぎレアちゃん本当に珍しくてこっちが死にそう、本当に文章綺麗でレアちゃんの解像度が私の中であがってきててとても嬉しい (7月24日 22時) (レス) @page4 id: 8adc159d64 (このIDを非表示/違反報告)
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