花冠と指輪┊︎約ネバﾈﾀ ページ40
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『ぞむたー』
エントランスホールで掃除をしていれば、舌っ足らずな声が自分の名前を呼んだ。
振り返って視線を下げれば、この孤児院にいる孤児の1人、Aが自分を見上げて立っていた。その腕には彼女の小さな体躯には少々大きい絵本が抱かれている。
「どうしたの、Aちゃん」
目線を合わせるようにしゃがみ、声を高めて聞く。素の自分では怖がらせてしまう事がある。Aも来たばかりの時は、自分に対してびくびくしっぱなしだった。
長い前髪に隠れ気味な目を見つめ返せば、落ち着きなく彷徨わせる。
彼女は人と目を合わせて話すのが大変に苦手だ。仲の良い子達とも合わせられていない時があるくらい。
そんな彼女が口を開くのを待っていれば、おずおずと自分の服の裾を引いた。
『…あのね、あの、』
「なぁに？」
『絵本にね、お花の輪っかがあってね、それ作りたいの』
「輪っか？」
"お花の輪っか"が何を指しているのか分からず首を傾げれば、Aは手に余る絵本を開こうとする。何だか落としてしまいそうな危うさを感じて手を添えれば、『、っありがと、』と零し、落ち着いてページを捲り始めた。
『これっ』
見つけたのか、ぱぁっと顔を明るくさせてそれを指す。そのちぃちゃい人差し指が触れていたのは、登場人物が頭に着けていた花冠だった。
「お花の輪っか…あぁ、花冠ね」
『はなかんむり？』
「そー。こうやって頭に冠みたいに乗っけるでしょう？だからお花の冠」
手で輪っかを作ってAの頭に宛てがうようにし説明する。両手で包めてしまいそうな小さな頭を動かして、自分の手を見上げた彼女は感心したように口を、おー、と開けた。
「Aちゃんは花冠が作りたいのね」
『うん、』
はて、ハウスの屋内に生花はあっただろうか。ママが食堂に生けていたりするが、恐らくあれは毎朝外から取ってきているものだと思われる。
大人しい性格であまり活発性のないAなら、そこまで不安ならず外に出すこともできるが…。自分の独断で行った事が、ハウスの均衡を崩壊させてしまうような事態になるのだけは避けたい。
彼女から絵本を受け取り、閉じる。
「それじゃあママに聞きに行きましょうか」
『ママに？』
「えぇ」
絵本を小脇に抱えて立ち上がる。エプロンの裾に着いた小さな埃を払って、Aに手を差し出した。彼女が赤ん坊のように人差し指だけ握ったのを確認して、ママを探しに歩き出した。
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ぽんず(プロフ) - ゆゆしきさん» んふふ。照れるネタ考えたんだから、せっかくだしぶち込め！精神で書きました。文章綺麗はまじで嬉しい褒め言葉ですありがとう。どんどん解像度上げてってもろて。 (7月24日 22時) (
レス) id: 1d8d6127fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - たじろぎレアちゃん本当に珍しくてこっちが死にそう、本当に文章綺麗でレアちゃんの解像度が私の中であがってきててとても嬉しい (7月24日 22時) (レス) @page4 id: 8adc159d64 (このIDを非表示/違反報告)
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