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お茶会に行きたい、そう言っていたはずなのに、何故帰ってきたのだろうか。首を傾げていれば、繋がれていた手が離された。
空いた手とオスマンの顔を見比べていれば、やっと口を開いた。
「じゃ、もう行かないかんから」
『…お茶会は？』
当初の予定を崩してしまって良いのか、そういう含みを込めて言えばオスマンは笑った。
元々行くつもりは無かったのか。
服だけでは私の機嫌を損ねると思ったのか。
彼の服選びに碌な思い出はないが、別に彼と外を出歩くのが嫌いという訳ではない。ゆるゆると一緒に歩くことは、殺伐とした軍生活での息抜きだというのに。
なんだか悔しくなって、離された手を今度はこちらから握った。普段閉じられている糸目が開かれて、彼の常盤色がちらりと見えた。
『……ケーキ食べる気満々やったのに』
「ごめんなぁ」
『…クッキーもマカロンもタルトもパフェも食べたかったのに』
どうしてこんなに悔しい気持ちでいっぱいなのか分からなくて、頬が膨らむ。
彼のお金でお菓子をお腹いっぱい食べようと、それが連れ回された仕返しにできると、そう思っていた。
なのに。
地面を見つめながら感情の行き場を探していれば、オスマンは握った手をそのままに私の前立った。そのまま空いている手で私の頭をぽんぽん撫でてくる。
彼はいつまでも子供扱いしてくる。
軍に拾われた時からずっとずっと変わらない。
「…次帰ってきたら行くめぅ」
『……絶対嘘。また服屋連れ回すやろ』
「…ん−、」
目線だけ上に向ければ、困ったように笑うオスマンが居た。
「だって、Aちゃんの服選べんの俺だけやんか」
『そんな事ないやん』
「ん−や。これは俺の特権」
繋いだ手を上に引かれて顔を上げさせられる。また、彼の常盤色が見えた。
鬱やらチーノが服を選んでくれる事だってあるのに、何をそんなに拘るのか。
「真っ白な猫ちゃんを彩るのは、俺だけ。はじめっからそうやろ？」
にー、と子供のように笑ってオスマンは言った。ワンピースに着いた黒いリボンにちょんちょんと触れて。
『猫やって意思ある事を忘れんといて欲しいわぁ』
そう言った瞬間、握られていた力が緩められた。その隙にぱっと手を抜けば、オスマンは大変愉快そうに笑った。
なんだかいつまでも、彼の掌の上で踊らされているような気がするが、それもまぁ彼との時間なのだろう。
次帰ってきた時には、しこたまお菓子を食ってやろうと思った。
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ぽんず(プロフ) - ゆゆしきさん» んふふ。照れるネタ考えたんだから、せっかくだしぶち込め！精神で書きました。文章綺麗はまじで嬉しい褒め言葉ですありがとう。どんどん解像度上げてってもろて。 (7月24日 22時) (
レス) id: 1d8d6127fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - たじろぎレアちゃん本当に珍しくてこっちが死にそう、本当に文章綺麗でレアちゃんの解像度が私の中であがってきててとても嬉しい (7月24日 22時) (レス) @page4 id: 8adc159d64 (このIDを非表示/違反報告)
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