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「…俺らの飯は肉だけやしな」
さりげなくAの手から自分の手を逃がしながら、そう返す。
狼の食事は肉のみ。羊の食事は草のみ。それがこの世界の理。
『それもそっか』
当たり前のことを聞いてしまった、といった顔でAは手を引っ込めた。
『肉、美味しい？』
引っ込めた手を退屈そうに弄りながら、そんな事を聞いてくるA。今思い付いた純粋な興味、そうAの顔が物語っているが、ゾムには答え難い質問だった。
ゾムが食べている肉は種類を問わない。仲間内には種類に拘っている者もいるが、ゾムは腹が溜まれば十分な性質だった。
ゾムの中には拘りも慈悲も無かった。目の前のAの同士である羊を食べる事も、食事としては厭わなかった。
けれど、それをAに伝える事は出来なかった。何故なのか、それはゾム自身にも分からなかった。
どう答えたものか考えあぐねていると、遠くから再びからからとベルの音が聞こえた。ゾムは音に釣られてぱっと顔を上げたが、Aには聞こえないらしく首を傾げていた。
『ゾム？』
「A、迎えやわ」
『え？』
Aが柵の内側を振り返るが、そこには誰もいない。ゾムのうそつき、なんて顔をするAに苦笑しながら、もうすぐ聞こえてくるだろうクソデカボイスに備えた。
もう少ししたら…
「Aーーー！！！」
ほら聞こえた。予め耳を後退させていたが、それでもその声はがんがんと脳内に響く。
丘の向こうから草原を爆走してくる羊が1匹。橙の羽織をばさばさと翻しながら慌ただしくやって来た羊は、柵のすぐ傍に居たAの脇の下に腕を入れ柵から離す。
『なぁにロボロ』
「なぁにちゃうわ！！」
どこまでもゆったりとした調子でいるAにぎゃんっと説教するこの羊の名前はロボロ。
下手すればAより小さい身体から出される声は、どこまでも響く。ついでに首元に着いているベルもこいつのだけはデカく感じる。圧倒的な生命力は遠くに居ても感じやすい。
「みんな探しとんねんぞ！」
『ちゃんと勉強はしたってば』
「や、やっとったけど…！俺が言っとんのはそういう事やなくて、！」
勢いよくAに叱咤の言葉を投げかけるのはいいが、簡単に論破されすぎである。無関係のはずなのにゾムはそのロボロの姿に呆れた。
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ぽんず(プロフ) - ゆゆしきさん» んふふ。照れるネタ考えたんだから、せっかくだしぶち込め！精神で書きました。文章綺麗はまじで嬉しい褒め言葉ですありがとう。どんどん解像度上げてってもろて。 (7月24日 22時) (
レス) id: 1d8d6127fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - たじろぎレアちゃん本当に珍しくてこっちが死にそう、本当に文章綺麗でレアちゃんの解像度が私の中であがってきててとても嬉しい (7月24日 22時) (レス) @page4 id: 8adc159d64 (このIDを非表示/違反報告)
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