狼と羊┊︎ハロウィン 獣化 ページ28
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だだっ広い草原には柵で覆われたとある施設がある。
多くの羊達が住まうその施設のすぐ傍にある森から現れたのは1匹の狼。目元を隠す程深く被った緑のパーカーが特徴的なその狼は、ブーツで草をざくざくと踏み荒らしながら森から出てきた。
しばらく歩みを進めると、すぐ傍にある柵の一片に背中を預けて腰掛けた。地面から伸びる草がさわさわと手をくすぐった。
ぼんやりと空を流れる雲を眺めていれば、からからとベルの音が聞こえた。聞こえたが、狼が知らん振りをしていればそのすぐ後ろで鈴の音が止まる。『わっ！』という掛け声と共に背中に衝撃が与えられる。
狼が振り返れば、柵の向こうには真っ白な羊が1匹いた。狼の姿をきらきらと輝いた顔で見ていたが、全く驚いた様子を見せない狼に段々と不満が募ってきたらしく頬を膨らませた。
『…なんでびっくりせぇへんの』
「そりゃあ分かっとったからや」
にぃと笑いながら狼が言えば、『もー！』と怒りながら柵の隙間から伸ばした手でぺしぺしと狼を叩く。
『ゾムいっつも反応無くてつまらん！』
「Aがもうちょい工夫すればええんやって」
必死に叩いてくる羊の手を軽くあしらいながら、けらけらと狼は笑った。
狼の名前はゾム。羊の名前はA。
2人は柵越しの友好関係を築く、種族違いの友人であった。
『なぁゾム？』
「んー？」
『手、見して』
Aの突然の願いに首を傾げたゾムだか、大人しく手を差し出す。
柵越しに触れ合うのはこれが初めてという訳では無いが、何故だかゾムはこの時、自分よりも一回りも二回りも小さい手にどきどきした。
柔らかくて温かいAの手がゾムの硬くて冷たい手をまじまじと観察する。
『ゾムの爪、長いねぇ』
「そりゃあ狼やからな」
ゾムの指先から伸びる爪は黒く長い。先は鋭利に尖っており、気を抜けば今触っているAの肌に簡単に傷を付けてしまうだろう。気ぃ付けな。
『これで肉を食べるの？』
そう聞くAにゾムは言葉を詰まらせた。前髪で隠された瞳は恐らくこちらを真っ直ぐ見据えているように思えた。逃がさない、と。
羊のくせになんと生意気な目。
見えないAの瞳にゾムはそんな悪態を突いた。
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ぽんず(プロフ) - ゆゆしきさん» んふふ。照れるネタ考えたんだから、せっかくだしぶち込め！精神で書きました。文章綺麗はまじで嬉しい褒め言葉ですありがとう。どんどん解像度上げてってもろて。 (7月24日 22時) (
レス) id: 1d8d6127fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - たじろぎレアちゃん本当に珍しくてこっちが死にそう、本当に文章綺麗でレアちゃんの解像度が私の中であがってきててとても嬉しい (7月24日 22時) (レス) @page4 id: 8adc159d64 (このIDを非表示/違反報告)
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