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「ｯﾀﾞｲｯｯｯ」
がぶりと噛まれた手を鬱は慌てて引っ込めた。彼の人差し指にはAの小さな歯型がくっきり残っていた。
「うわ、やったな」
「大丈夫か大先生」
「めっちゃ痛いぃ……」
痛みによる生理的な涙をじんわり浮かべながら、鬱は噛まれた部分にふーふー息を吹きかけた。エーミールは腕の中で悪びれもせずぴこぴこ耳を揺らすAに顔を向ける。
「Aさんっ、噛むのはアウトですよ…！」
『………』
「あぁ…そうやったなんも喋ってくれんのやった…」
不思議そうにエーミールを見つめるだけ、なにも声を発しないA。兎に声帯がないのが反映されているのか。
これでは糠に釘。暖簾に腕押し。豆腐に鎹。
どうしたもんか、エーミールが考えていればトントンが近付いてくる。
「動物も子供もちゃんと、あかんもんはあかんって教えたらな」
そう言うと、エーミールに抱かれているAの頭に手を伸ばす。そのまま耳ごとぐっと頭を抑えつけ、Aの顔をじぃと見つめた。
「A、噛みついたらあかん。ええか」
普段より低い声でトントンがそう言うが、Aは平気そうにしている。なんならぶーぶーと鼻を鳴らして、トントンが頭を抑えつけている事に不満を示している始末だった。
「言う事聞けへんのやったら、もうエミさんに抱っこしてもらうんはやめろ。自分で歩け」
追い打ちをかけるようにトントンが言うと、途端にAは鼻を鳴らすのをやめた。へにょ、と耳を下げエーミールを見上げる。小さくきゅぅと鳴いたのが聞こえた。その不安そうな様子に、エーミールはくすりと笑いを零した。
「ふふ、ええ子にしてたら大丈夫ですから。…ええ子に出来ます？」
ふわふわとした頭を撫でながら、そうエーミールが問う。すると少し視線を逸らした後、鬱へ手を伸ばした。なにをするつもりなのか分からないが、噛まれる心配はないだろうと楽観的に考えた鬱は再びAの傍へ寄る。
伸ばされたAの小さな手に鬱が指先を乗せれば、きゅっと掴む。そのまま口元へ運んだかと思えば、先程自分が噛んだ傷をぺろぺろと舐め始めた。
「んふ…ぺろぺろして治してくれとんの？Aちゃんはやさしーねぇ」
エーミール同様に鬱がやわやわ頭を撫でると、嬉しそうにぷぅぷぅ鼻を鳴らした。リラックスしたようで耳は完全に後ろに下がりきった。前髪で隠れていた目が覗き、きゅっと細められているのが見えた。
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ぽんず(プロフ) - ゆゆしきさん» んふふ。照れるネタ考えたんだから、せっかくだしぶち込め！精神で書きました。文章綺麗はまじで嬉しい褒め言葉ですありがとう。どんどん解像度上げてってもろて。 (7月24日 22時) (
レス) id: 1d8d6127fe (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆしき(プロフ) - たじろぎレアちゃん本当に珍しくてこっちが死にそう、本当に文章綺麗でレアちゃんの解像度が私の中であがってきててとても嬉しい (7月24日 22時) (レス) @page4 id: 8adc159d64 (このIDを非表示/違反報告)
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