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譲渡 ページ27

潔side




向けられた手の平に驚いたが、大人しく口を噤んで彼女の次の言葉を待つ。



『さっき、見たんです…見たはずなんですよ……うぅ…』



左手はこちらに向けたまま、右手で自身の頭を軽くぽんぽんと叩く彼女。必死に思い出そうとしている姿は、なんというか…。

なんて、言うんだろう。

自分の感情が理解できなくなって、混乱する。
なんだこれ。何で急に自分の考えてることが分からなく…?


俺が1人で混乱を引き起こしている内に、彼女は思い出すことができたのか、ぱっと顔を明るくした。



『そうだっ!チームZの潔くんです!……えとあの、潔くんで合ってます、か…?』



手の動きを止め、不安そうに聞き返してくる。



「…あ、うん、合ってる…。え、もう全員覚えたんですか…?」

『あーいや…ひとまず顔と名前を、と思ってさっき一通り資料に目を通しただけなので…。まだ、皆さん一人一人が何が得意で何が苦手、とか覚えられていなくて…。』



気まずそうに肩から垂れている長い髪に触れながら、そう話す。


挨拶したタイミングといい、来たの多分昨日だろ?それなのに顔と名前一致させるとか…。
記憶力が優れているのか、はたまた効率が良いのか。

ひとまず、すごい。


俺が1人で感心に浸っていると、彼女は思い出したように机に置いたコップを手に取り、再びこちらに向き直りながら



『あの、私は眠れなくてホットミルクを作りに来たんですけど、潔くんはどうして深夜にこんな所へ?』



そう聞いてきた。



「俺も一緒です。なんか勝手に目が覚めちゃって…。歩いたり、水飲んだら寝れるかなって。」



落ち着きのない奴に思われるかな、なんて思うと気恥ずかしくなってくる。
でも彼女と同じ理由で何故だか胸の奥が温まる感覚がする。

どうしてなんだろうか。とぼんやりと考える俺に、何を思ったのか彼女はコップを差し出してくる。



「…え、?」

『どうぞ。さっき作ったばかりですから、まだ温かいですよ。』

「いやっでもこれ、雪吹さんの、」

『私はもう1つ作ります。せっかくですから一緒に飲みましょ。』



『喋ったりしてたら眠くなるかもですし。』と提案してくれる。
良い提案だと思ったし、何よりもう少し彼女と話していたい自分も居る。ありがたく誘いに乗ろう。



「…じゃあ、ありがたく貰い、ます。」

『それじゃあ私は、直ぐに自分のも作ってきますね。』



俺にコップを渡して、彼女は長い髪を揺らしながら再び台所へと消えた。
俺も大人しく手近な椅子に座り、彼女を待つことにした。


彼女の言った通りまだ温かいそれ(ホットミルク)を両手で包んで。

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coco - 更新待ってる (12月29日 9時) (レス) @page32 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
アンナ(プロフ) - お話面白いし絵も上手で尊敬します!応援してます!頑張ってください! (6月11日 2時) (レス) @page8 id: 61fc3359a9 (このIDを非表示/違反報告)
闇まんじゅう(プロフ) - お話めちゃくちゃ面白いし、絵も上手でも吃驚しました!頑張って下さい!応援してます! (2023年3月3日 20時) (レス) @page31 id: a2e3403032 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 面白いです!頑張ってください応援してます! (2023年1月1日 17時) (レス) @page18 id: 35aefc2ecc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽんず | 作者ホームページ:ぽんずワールド  
作成日時:2022年12月21日 20時

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