早朝 ページ14
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あの日は、1日で色々ありすぎだったのでは。
そんな事をぼんやりと考えながら学校への道を歩いている。現在午前5時。朝から生徒会の仕事に駆り出されている。
ぶっちゃけ眠い。怪我や事故だけは起こさないように、とは考えているものの、脳内は睡眠欲が6割くらい占めている。学校に着いたら1回仮眠を取らせてもらおう。また階段から落ちかねない。
朝早いからか、人通りも交通量も少ない。赤信号で立ち止まって、空を見上げる。冬の朝焼けは灰色で、でも水色も橙色もあって。
母さんの好きな色。
ぼーっとそんな事を考えていたその時、冷たい風が吹いて身震いする。
何で真冬のこんな早朝に私は…。赤信号長いなくそ。こんな事ならカイロ持っておけば良かった。
現状にイライラしてきて、風で乾燥した目を瞑る。マフラーを右手で口元まで上げて、少しでも寒さを防ごうとした。
その時ポケットに入れようとした左手を掴まれた。そしてそのまま前に引っ張り込まれる。急いで開けた目に映ったのは信号の白線ではなく、後部座席のドアが開いた黒いバン。掴んできた手はそこから伸びている。
え、これヤバいやつなのでは。
回らない頭で必死に考える。
しかし、車内と、引き寄せそのまま抱き締めてくるその人肌の暖かさがすごく心地いい。そして眠気が引っ張り出されて、考えることがめんどくさくなった。
生徒会の仕事、放り出したらどうなるんだろう。
そんな事を考えながら、私は意識を手放した。
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「う〜さむっ…」
「何で冬に早朝練とかあるの…」
こちらは白宝高校女子バレー部員の2人組。朝練のために学校へ歩いていた。
「まだ室内競技で良かった。窓全開だけど。」
その時、ふと目に入った同じ制服の女子生徒に目を引かれる。
「見て見て…!あれ!」
「あ、えーっと…誰だあれ。」
「もう!生徒会のAさんだよ!」
「あ〜アンタが大ファンの。」
「妖精さんみたいですっごい綺麗じゃない!?憧れる〜。」
朝練辛いという感情で占められていた心が、癒されるのを感じる。見れてラッキー!そんな事を考えていた時、1台の車が彼女の前を通る。
次の瞬間に彼女は消えていた。
「え……やっぱり妖精さん、?それとも私の脳が朝練嫌すぎて妄想を具現化した…?」
「安心して、私も見てるから。」
「え、じゃあ何で……?」
「妖精さんパワーで飛んでったんじゃない?そこ信号長いし。」
「そう思うことにするわ。」
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coco - 更新待ってる (12月29日 9時) (レス) @page32 id: 5b00a62990 (このIDを非表示/違反報告)
アンナ(プロフ) - お話面白いし絵も上手で尊敬します!応援してます!頑張ってください! (6月11日 2時) (レス) @page8 id: 61fc3359a9 (このIDを非表示/違反報告)
闇まんじゅう(プロフ) - お話めちゃくちゃ面白いし、絵も上手でも吃驚しました!頑張って下さい!応援してます! (2023年3月3日 20時) (レス) @page31 id: a2e3403032 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 面白いです!頑張ってください応援してます! (2023年1月1日 17時) (レス) @page18 id: 35aefc2ecc (このIDを非表示/違反報告)
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