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街を抜ける間、いろいろなキャッチに声を掛けられたが全部無視。というか、こちとらちゃんと制服着とるんやから、学生って分かるやろ。何を考えとんのや。
声を掛けられる度に、口の中に苦みが広がる。タバコで誤魔化せない酷く醜い苦い味。
僕が欲しいのは、そんなのじゃない。
もっともっと甘いのを。
知らぬ間に駆け足になっていたのか、家に辿り着いた頃には息が上がっていた。滅多に運動をしないこの身体は、少し走るだけで心臓が早くなる。
呼吸を整えながらマンション内を進み、自宅に到着する。
鍵を開け、深呼吸を一つして、扉を開けた。
「ただいまー」
近所に音が響かないようにゆっくり扉を閉めながら、部屋の奥へと声を掛ける。
いつもならすぐに返ってくる声が無いことに、首を傾げようとした瞬間、脱衣所の扉がすごい勢いで開け放たれた。ついでに大きな音付きである。
びっくりしてせっかく落ち着いた心臓が再び早鐘を打ち始めるが、そこから現れた小さな影が目に入ると、脈拍はすぐに静かになった。
ぺたぺたと、裸足でフローリングを歩いたときに鳴る音を立てて、その影はこちらへと駆け寄ってきた。全くスピードを緩める様子が見えないので、肩に掛けていた荷物を下に置き、しゃがんで待ち構える。
思った通り広げた腕の中に飛び込んできたその小さな身体を、優しく包み込んだ。
『うつくん！おかえりなさいっ』
「ん、ただいま〜」
Aちゃん。
僕の大切な人。シャオロンの誘いを断ったのはこの子がいるから。
僕が見つけた僕だけの宝物。
ころころと鈴が転がるような愛らしい声で、腕の中で僕の名前を呼んでくれる。僕の首元にぎゅうっと抱き着いた後、パッと上げた顔には満面の笑み。可愛い以外の何物でもない。
「お風呂入っとったん？」
『うん！お風呂出たら、ちょうどうつくんが帰ってくる時間になるかな〜って思って入ってた！』
「そぉか。Aちゃんはほんに、頭がええねぇ」
脱衣所から出てきた事、普段よりも温かい身体、そして毛先から少し垂れる水から、思いついた事を言ってみれば当たったらしい。そしてなんとも可愛らしい理由付きときた。疲れた精神に染み渡る可愛さだ。
時間の逆算が出来ることもすごい。あまりモノを知らない子だが、最近こうしてタイミングを計る事を覚えたらしい。それも自分のためだと思うと、胸がきゅうっと甘く締められる。
タイミングを合わせられた事を褒めてやれば、『えへへ〜』と柔らかく顔を綻ばせた。
だがしかし、どれだけ可愛くて愛しかろうとも言わねばならない事がある。
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ぽんず(プロフ) - 時雨さん» 【d!×はぴしゅが】が見たくて自己満で作ったモノなので、そのようなコメントをいただけてとても嬉しいです…！ (6月14日 22時) (
レス) id: 97349c3877 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - d！様も原作も好きなんで供給過多です)) (6月13日 22時) (レス) id: 361218612a (このIDを非表示/違反報告)
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