初恋の君 2 【モーツァルト】

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鮮やかな世界

それは一瞬の幻なんかじゃなくて

モツ君が私に見せてくれた現実

最初から自分に素直になっていれば、すぐに掴めていた幸せ


『…モツ君“で”良いんじゃない

私はモツ君“が”良いの

私、モツ君のおかげで色だって見えるようになった

ありがとう、モツ君

あなたは私にいつも素敵な世界を見せてくれる

モツ君の事が大好きだよ』


こうやって素直に言葉で伝えられていたら…

でもそんな事、私に言える勇気なんて無くて

涙しか出てこない

モツ君が私にハンカチを差し出してくれる

本当に辛いのはモツ君なのに

いつだって優しくしてくれて

そして私はいつだってそれに甘えて…

『ありが…と…』

ハンカチを受け取り、顔を埋める

…やっぱり臆病だな、私

簡単な返事すら出来ないなんて


私の嗚咽だけが部屋に響く

どれだけ泣けば気がすむんだろう、私

きっと私の顔は見せられないくらい酷いことになっている

「A…顔、上げて？」

モツ君が私に声をかける

『顔…酷い事になってるから…無理』

…そんな事言いたいんじゃない

『モツ君が好き』って一言言えればいいのに


昔からそうだった

気持ちを言葉にするのが苦手で、アマデウスと一緒にいる時もずっと自分から聞き手に回って


じゃあ私ってどうやって自己表現をしていたんだっけ？


クラシカロイドとして生まれ変わった今の私は、昔と何が違う？

…違うところなんて、変われたところなんて１つも…


…ううん、違う

私には、響吾さんから貰った、私だけの音楽の“奏で方”がある


昔の私も自己表現は音楽だった

でも今の私はA・ブレーズじゃない

クラシカロイドのAなんだから





一度は私たちを隔てた音楽でも

気持ちを乗せて奏でれば




『Hören meiner Musik‼‼』




それは架け橋へと姿を変えてくれる

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