初恋の君 2 【モーツァルト】

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Aを背負って、僕は予約してもらっていたホテルへと向かう

…わあ、なんか豪華、奏助すごい

チェックインを済ませ、エレベーターに乗り込む

12階だっけ

ボタンを押すと、エレベーターは音もなくスーッと上がっていく

…Aはまだ目を覚まさない

でも、覚ましたところで僕は何を言えばいい？

Aは、僕と話をしてくれるだろうか

Aが、目を覚ましたら

目を覚ましたら…僕は…

【12階です】

「…もう着いちゃった」

エレベーターから降りると、部屋を探して歩く

あ、ここの部屋だ

カードキーをドアにかざし、部屋へ入る

わー…凄い

中はとても豪華で、窓からはネズミーランドが一望できる

…この部屋に入った時の喜びを、君と楽しみたかったなぁ

Aをベッドに寝かせ、横に椅子を持って来て座る

寝ているAの顔からは、悲しみも喜びも、何も見えなくて

ただ存在しているだけ、みたいな、全て諦めたような表情をしている


「でもさ、君も苦しかったように、僕も苦しかったんだよ

苦しかったのは君だけじゃないんだよ

僕だって救われたいよ…」


Aの手を握り、祈るように呟いた


…まだ外は明るい

Aが起きる頃には綺麗な夜景が見えるといいな

「…A、君が僕を受け入れてくれなくても、僕はずっと君を愛し続けるから」


…なんて、Aには聞こえてないか

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