初恋の君【モーツァルト】

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その頃音羽館

「Spielen wir unsere Musik！」

庭から流れ出すベートーヴェンの交響曲第6番『田園』

「朝から何事ー⁉」

いつものように朝から怒鳴りっぱなしの私、大家の歌苗

しかしその日だけは状況が少し違っていた

窓から身を乗り出して外を見ると…

「あれ…？庭が燃えてない…」

いつもはここで爆発が起きているはずだが、今日は爆発どころか機械さえも出ていない

なんで…？

ま、いっか、ベトが庭を燃やしてないのは良いことだし〜

と掃除に戻ろうとすると

「うわぁっ！」

複数人の声と急いで走り去っていく音が聞こえて、急いでまた外を見る

いつか見たあのクレーン車のロボットがうちのオルガンロボットとまた取っ組み合いをしていた

ああ、またベトが助けてくれた……って

「えぇっ⁉何でまた⁉」

知らない知らない、何でまた家壊しに来てんの⁉

「ベトー‼⁉何が起こってるの⁉」

「何だ小娘！俺はただ我が創作の邪魔をする者蹴散らしていただけだ‼邪魔をするな‼」

「はぁ⁉」

うちの庭なんですけど‼⁉


…あれ？

“邪魔をする者”って今言った？

もしかしてまた音羽館解体の人が来ちゃったの…？

ベトはそれをまた助けてくれたってこと？


音楽が終わると、そこは何の変哲も無いただの庭があった

また助けて貰っちゃった…

ベトとかのおかげで音羽館の平穏な日常が送れるんだなぁ

と感謝の気持ちが湧き出て…


ガンっ


「え」

急に現れた機械

うん、私この機械知ってるよ


「ファイヤー‼」


目が眩むほどの閃光

そして上がる火柱と黒煙


「ベトーー‼‼」


そう、音羽館に平穏なんてない

今日は嫌な予感がするな、とか思ったのも、ベトの燃やした庭を一緒に消火してくれるAさんがいないってことだったんだ、多分


＿＿Aさん、モツ、楽しんでますか？

私は1人で必死に消火活動に励んでいます…

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