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4. Daylight in mid-air ページ4

そんなこんなでやはり付いてない私は

こんなところまで人生をあっけんなく連れてこられたのである。


「文月家のお嬢さんは身なりもきっちりしてらっしゃるのねぇ」


「ありがたきお言葉」


軽く過去へフラッシュバックはしたものの

ここ、立派なお見合い場です。

しかしながら

「あの….相手の方、って?」

「あら、ごめんなさいね」


あの子いつまで外にいるのかしら。


清楚なショートボブを耳にかけ直しながら細くきれいな指使いでそのまま流れるように顎に手を置く仕草は


やはり育った環境の良さが伺える。


「この度は賢治くんの死。心よりお悔やみ申し上げます。」

その横で小さく呟いた

ダンディー風ないかついおじさまは

半分目元に涙を溜めたまま


「賢治くんには本当にお世話になったよお」

「あ、お父様もきっと

喜んでいるかと…。」


そうなんとなく返事をすればばっと振り向いてきて

「君もいい子に育ったなぁ!」



思うことか次の瞬間声をあげて泣き始めたのだ。

「はぁ。」

なんとなく居心地が悪くなってきて


あたりを見回せば、

やはり慣れない光景である。


先祖代々和式だった我が家とは逆に

先祖代々洋式だったおじさまがたのお家

聞いたことはあるけど

これがそふぁーってやつですかね?

初めて見るものに興味津々なままくるくるくる目線を動かす。



べっとと呼ばれるお布団の小さい版みたい…。

ツンツンとそのオレンジ色のくっしょんと呼ばれるそれを指でツンツンつついてみる

柔らかい


ツンツン、

ツン

あ、もしかしてこれって座布団と同じ要領で座るものなのかな?

手にとって考えに耽る私の前で

少し困った笑顔で

未だビャアビャア涙を流すおじさまを見て


それから視線を部屋の隅へと動かしたおばさまは

そっと口を開いた


「困ったわね。あの子…。ちょっとロバート見てきてくれないかしら?」

「仰せのままに」


ろばーと。

とはまた不思議な名だ。

サラサラの黒髪をポニーテールにまとめたリンとした女性は

90度に折り曲げた腰を持ち上げ

そのまま大きな庭へと飛び出して行く


「ひだかさまぁあああ!!」

なんて叫びながら。

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作者名:ぽん | 作成日時:2020年2月3日 9時

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