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I know. 4 ページ47




たとえきれいごとだとしても、僕は本心から世の中のあるべき姿を夢想している。


少しでも、彼女のような異能者が国によって守られる世の中になってほしい。未熟な司法が成長し、平等に異能者を裁くことが出来るようになってほしい。僕の意思で入庁した組織ではないが、種田官長の理念には賛同している。


「そのために、貴女には……人々のために異能を使う人間になってほしい。たとえ、この国の司法に煮え湯を飲まされていたとしても。僕たち特務課の保護を受け入れて、ともに歩んでほしいんです」


僕は英国式の挨拶に合わせ、梨木さんに握手を求めた。『西の魔女』は何も言わず、自身の家へと姿を消した。


「――私の力を、誰かのために使えば……そうすればきっと、みんなが、受け入れてくれますか」

「ええ」

「安吾さん、貴方は……私を、受け入れてくれますか」


少女がおそるおそる伸ばした手を、僕は力強く受け取った。彼女は次第に大粒の涙をこぼし、大きな声をあげて泣いた。


これまでの人生ではじめて、家族以外の人間に受け入れてもらえたかのように。


「あのね、これから私を香歩って呼んで。私の名前を呼んでくれる人、……家族以外でいなかったんだ――――」
















僕が目を開けると、殺風景なアパートの一室に景色が戻っていた。


香歩くんが初めて僕に送ってくれた手作りのカフスを握りしめると、いつでも過去の記憶を視ることができる。思い出せば思い出すほど、目の前の遺体が、彼女のものとは信じがたい。


椅子に腰かけたまま、血も流さずに首が落ちた遺体。容姿はよく似ているけれど、何もかもが違う。ビスクドールのように動かず、瞳の色も、髪の色も、肌の色でさえ記憶のとおりではない。


間違いなく僕が知っている彼女ではないのに、どの情報を調べても、彼女が『梨木香歩』だと記されている。特務課に入庁する試験を受けた記憶すらなく、いつから彼女と出会わなくなったのかさえ、記憶があいまいだ。


「……何かが、おかしい」


香歩くんのように見える、この遺体の正体は誰なのか。この部屋の記憶で視た一之君は、彼女とどのような会話をしていたのか。誰が、――007の記録を消したのか。


僕は近くにいた捜査官に声をかけ、殺人現場を後にした。


この件はもっと詳しく調査をする必要がある。

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設定タグ:文スト , 異能特務課 , 坂口安吾   
作品ジャンル:ミステリー
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アバンギャルド・マボ(プロフ) - てんてくさん» 安室さんのファンの方ですか?!細かいところまで読んでくださってありがとうございます〜。警察庁と警視庁の違いについて勉強になりました! 現実では法務省ですが原作では司法省だったりする世界なので、心の目で読んでください〜( ´ ▽ ` ) (2021年4月27日 18時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
てんてく - ページ18についてなのですが……警視庁ではなく警察庁では…?公安は一応警察庁警備局警備企画課なので……間違えていたらすみません<(_ _)> (2021年4月27日 9時) (レス) id: 0e2cae39fb (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - あれまー(^_^;)。これまた、ゲキヤバ(;゜0゜)。余談、足立さん以外とドジですねー笑(^^)。 (2020年2月17日 19時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - アバンギャルド・マボさん» 足立さんマフィア、やめるってよが、良い小説でしたので、こちらも、読ませていただきます♪♪。読む前から、楽しみ♪♪です〜笑(^^) (2020年2月16日 13時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - かなとさん» シャークトパス…サメ+タコという驚異的な発想の元生まれたアメリカ映画です。頭のどこかが宇宙的な攻撃を受け、SUNチェック入ること請け合いですがぜひご覧ください! (ストーリーの核心に触れることに反応できなくてごめんなさい) (2016年9月17日 15時) (レス) id: ee9a5e5139 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アバンギャルド・マボ | 作成日時:2016年9月5日 23時

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