死の味がする生の幸福《七》 ページ18
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情報とタイミングさえ与えてしまえば、暴力の抑圧を振り切った小組織でも痛手をつく攻撃はいくらでもできてしまう。抑圧する側は、開放の機会を今か今かと待ち望む人間の執念深さを忘れがちだ。
この反乱と組み合わせて、Qの地下牢が破壊されたという事実が重なれば、指揮系統は正常に働きやしない。
指揮官が存在するとでも勘違いしてくれれば万々歳だ。実際には彼らの蓄積された鬱憤と悪知恵の賜物なんだけど。
しばらくすると、可愛らしい子供の靴が廊下を駆け回る音がすぐに聞こえた。
「エリス、あーそーぼ！……って、…やだ、………なんで、紅葉さん、」
よかった。子供の目は正直だ。
俺の変装をまだ見破ってはいないらしい。
だが、彼には正体がわかろうがわかるまいが、これから先の計画には影響しない。
「Qちゃん。ここでしばらく遊んでて。部屋は好きに使いな」
昔俺が使っていた服を着替えに置いて、俺はさっさと彼を中に閉じ込めてしまった。
扉の中からは、俺の服を見つけたQが、「カズにぃ？」と困惑気味に呟いているのが聞こえる。
「……どうしたの？開けてよ、何かあったの？」
ふと、子供の声が、幼い俺の声に重なって。
再び母さんが殺された時の記憶が、蘇り始めた。
『やめて、やめてよ、おかあさん！！！』
『痛い、おかあ……おかあさ、』
『どうしてだよ、早くみんなを、』
「カズにぃ！！」
「………ごめん、」
俺は今、どっちに謝ってる。
俺の復讐のために軟禁されるQちゃんに対して？
それとも、あやふやな記憶の中の、母さんに対して？
……俺は今疲れているんだろう。
呪いに近い憎悪で、やっと身体を動かしているんだから当たり前だ。
三発の穴が空いた腹が痛む。
俺はQちゃんの声を聞きながら、扉を背にして暫くの休眠をとった。
10分にも満たない睡眠の間、虐殺されていく家族や子供達の姿を何度も夢に見続けた。
…体も心も休まりはしない。
この復讐を終わらせるまでは。
◆
こうして作業を進める間に、残念ながら俺の幻覚を操る集中力は限界を迎える寸前になっていた。
尾崎紅葉になりすましたまま、遠く離れた地に潜ませた髪分身を、リアルな状態で発動し続けるのは不可能だ。
そろそろ次のフェイズに進もう。
俺は尾崎紅葉として、中也さんに『足立一之を特務課のエージェントに拐わせろ』と命じた。
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伊織 - いえいえ！！私が気にしすぎてるだけなのでw お忙しい中目を通してくださってありがとうございました！ (2021年8月18日 14時) (
レス) id: 399c3e6058 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - 伊織さん» また、先述のとおり、多忙につき反映が難しくなってきたため、誤字報告・指摘の窓口は一度閉めることになりました。 せっかくのコメントに、不誠実な対応をすることになっては心苦しいからです。。。 忍びないのですが、今後は「まあいっか！」で流してください（ ; ; (2021年5月22日 12時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - そこまで読んでくださった方がいるとは……！誤字報告ありがとうございます！多忙につき、反映に時間がかかると思いますが、物語として重要なシーンなので訂正いたします！ありがとうございました！！ (2021年5月22日 12時) (レス) id: 253e5eff26 (このIDを非表示/違反報告)
伊織 - モールス信号なのですが...紹介ページ？みたいなところ、オじゃなくてエになってると思います。オは「・−・・・」かと...図々しくもすみません...！ (2021年5月21日 21時) (レス) id: 399c3e6058 (このIDを非表示/違反報告)
アバンギャルド・マボ(プロフ) - いつもありがとうございます！！これまでの芥川少年の行動を振り返ってみると「？！」の連続ですよね…笑笑 足立も芥川関係になるとグッズグズになるので五分五分かと思いつつ、やべえなと書いてる自分も思う時があります。 (2018年12月11日 19時) (レス) id: ea18c173c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アバンギャルド・マボ | 作成日時：2018年7月8日 15時
