Polaroid －INI 短編集－ (ページ6)

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umbrella Ⅱ ページ6

「ごめんA・・・明日の夜、会えなくなった」

「そっか・・・仕事？」

「・・・うん、最近忙しくてさ」

すっかり忙しい日々に上の空だった俺は、気づかなかった

「そっか！忙しいのは良い事だね」

優しい声で言ってたそれは

逢えない辛さを誤魔化すために、精一杯考えた台詞だったってこと

「理人・・・私たち別れよう？」

休日の景色、雨の音なんて何も聞こえなくて
ただ彼女の頬を伝う雫だけが目に入って

「・・・頑張ってね」

別れ際、涙の中で笑おうとしてくれていた彼女に俺は何も言えなかった

彼女との未来図を当たり前のように描いていたけれど

どんなに想い合っていても・・・あっけなく

そんなものは砕け散ってしまうものなんだと思い知らされた

彼女と別れた帰り道は、ビニール傘じゃとても凌げそうにない程土砂降りだった

もういっそ、傘なんか捨ててズブ濡れのまま君を追いかけようか

そう思い振り返れば、まるで景色はパートカラーで不思議だった

彼女のブルーの傘以外、全てモノクロに見えるんだから

静かに自分の頬を伝う雫に気付かないまま

結局追いかけることなんて出来ず、彼女の背中をただただ見つめることしかできなかったあの日

今日もあの日の自分と同じようにここに立ってる俺

何故か、今日は会える気がして

「理人・・・？」

・・・・ほら、やっぱり