しろくまのゆうびんやさん【叡智Ⅱ】 (ページ8)

今日:7 hit、昨日:2 hit、合計:1,502 hit

＊ページ8

『私としては、ローシャ君が元気そうで安心した。たまに危なっかしい感じだったから。今は何してるの？それは制服？』
　ああ、とロスティスラーフは喜々として鞄へ手を伸ばした。そして紙を一枚取り出し、彼女へ向かって差し出す。

「連合は一旦やめて、こんなこと始めたんだ」
　渡したのは、「しろくまのゆうびんやさん」のチラシだ。絶対に届かない手紙、届けます――そういえば！とロスティスラーフは思い出す。

「実は、日芽姉宛の手紙もいっぱい預かってるんだ。今度、受け取ってくれる？」
　日芽がペンを握るまで、そしてペン先が動き出すまで少し時間があった。が、紙に書かれたのは『もちろん』という歯切れのいい返事だった。
　その返事を聞いて、またロスティスラーフは嬉しくなる。悲しげに。切実に。照れながら。諦めたように。そう、「日芽」への手紙を自分達に預けてくれた人々の顔が蘇るのだ。届いた、と知ったら彼らはどんな気持ちになるのだろう？絶対に届かない、と諦めかけていたのに。
　そう夢見心地になっていたロスティスラーフをこちら側へ引き戻すように、ボールペンのノック音が二回した。日芽の立てた音だ。いまロスティスラーフの前に差し出されているのは、先程渡したチラシだった。意図を測りかねて、ロスティスラーフは日芽の方を見た。ペン先が、一部分を指した。
「絶対に届かない手紙、届けます」
　丸で囲まれたその部分に、彼女の手書きの文字でこうあった。

『死んだ人が相手でも？』

そしてそれら全てを覆す、→←＊