しろくまのゆうびんやさん【叡智Ⅱ】 (ページ48)

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「……さっきの俺の話聞いてたか、ローシャ？」
　便箋を封筒に戻し、苦笑いをしながらヴァイスは返した。もちろん、とロスティスラーフは返す。
「だって、名前があるなら見つかる可能性もあるはずだよ。おれたちは、『届かない手紙を届ける』しろくまのゆうびんやさん、なんだから」
　ロスティスラーフは、ベッドへ肘をつきながら言った。それはいわば確信だった。――今までおれたちは、何度も魔法みたいに手紙を届けられた。死んだ、と思われていた人にも。教育場で別れたっきりだったような人にも。そうして客に「魔法のよう」と言われた経験は何度もある。
　だったら、今回だって起こせるはずだ。その「魔法」を。
　引き下がらない、と判断したのだろうか。ヴァイスは、諦めたようにため息を一つついた。
「仕方ないな」
　封筒を、彼へ差し出す。
「……いや。俺からの依頼です。この手紙を、『加賀銘』さんに、届けてもらえませんか」

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