32 ページ32
*
『あっ、あの店だ！』
「うわっA危ない！」
『わっ……と』
目当ての店を前方に見つけると思わず駆け足になってしまい、危うく人にぶつかってしまいそうになった
しかし、瞬間に腕を後ろに強く引っ張られ
間一髪
追突を免れた
「もっと前見て！」
『ありがとう…助かった
……えっと…』
フジに腕を引いてもらい、追突は免れた
…免れた、はいいんだけど
こ、この体勢は…
頭上にはフジの顔
左腕は掴まれ、右側の腰には後ろから回った長い腕
回りくどいので単刀直入にいうところの
バックハグ
これは…これは…これは…
『フッフジ！！恥ずかしいからこの体勢やめよ』
通行人の視線も相俟って相当な熱が顔に集まる
慌てて離れようと身動ぎをしたが、何せガッチリホールド
男女の力量の差で、抵抗虚しくフジの腕の中からは逃げ出せなかった
『フジ…？離して…』
「んーどうしようかなー」
『ど、どうしようって何！？
私達お昼ご飯食べに来たんだよね！？
あっ…そうだよ私お腹空いてたんだ、フジはなっ離してっ』
全力で抵抗すると、今度こそフジの腕が離れた
『もう、何！早く行こ！』
「しょうがないなあ」
振り返って苛立ちを含めた声色で言うと、
フジは眉尻を下げて少し残念そうな顔をした…
ように見えた
今さっきのバックハグ
正直めちゃくちゃに緊張していた
それを誤魔化したくて怒ってみたけど
果たして誤魔化せているだろうか
顔が熱い
羞恥心を吹き飛ばしたくて、速歩で歩き出した
「あ、A！」
『えっ』
今度は、ぐんっと手を後ろに引かれた
「さっきみたいになると危ないからさ
こうして行こ？」
『は、え、う、うん…』
フジが隣に並び、私の指と自身の指を絡めてきた
恋人繋ぎ…
こんなサラッとやられてしまった…
「確かにお腹は空いてるけどさ、怪我しちゃったら意味無いし
ゆっくり行こうよ？」
『う、ん』
フジの長い指が私の指と絡んでいる
手汗、大丈夫かな
私はさっきからドキドキさせられっぱなしなのに、なんでフジはこんなことサラッとやっちゃうの？
悔しい、私ばっかり
指にも集中した熱を誤魔化すように、えい、と軽く体当たりした
「うおっ」
『仕返し』
「……」
にひっと笑うと、フジは盛大なため息をついた
「俺ばっかり……」
隣から、本当に本当に小さな声が聞こえた気がした
でもあまりに小さすぎて、聞き取ることは出来なかった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロミミ(プロフ) - ばりこあさん» コメント失礼します！とっても面白くて続きがすごく気になります！もう続きを書く気がないのであればしょうがないとは思うのですが、出来れば続きを読みたいです！更新頑張っていただけると嬉しいです！ (2019年1月4日 19時) (
レス) id: 25617d98ae (このIDを非表示/違反報告)
タサヌキ(プロフ) - とてもおもしろいです！ (2018年12月15日 17時) (レス) id: 20b20dc080 (このIDを非表示/違反報告)
ばりこあ(プロフ) - Ritaさん» コメントありがとうございます！フジも置いてみました笑 これからどんどん話が拗れていくのでいっぱいドキドキしてください( *^艸^) (2018年8月6日 23時) (レス) id: 6f07478e9f (このIDを非表示/違反報告)
Rita(プロフ) - コメント失礼します…！キヨだけかと思っていたらまさかのフジで、心臓破裂しそうです・・・。こんなドキドキする小説初めてです！続き、いつでも待ってます！ (2018年8月6日 22時) (レス) id: 952a5abe4c (このIDを非表示/違反報告)
ばりこあ(プロフ) - ろんどんさん» コメントありがとうございます！めっちゃ励みになります頑張りますね(*^o^*) (2018年8月6日 15時) (レス) id: 6f07478e9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ばりこあ | 作成日時：2018年7月21日 23時
