24章 打開策は一つ ページ25
このやり取りの中でも、私は常に眼を光らせ周りの気配を探っている。鬼殺隊の本領発揮は闇夜から。素人相手に負ける気はしない。まあ、敵を騙すならまず味方からとも言う。あくまで平然を装っているので隣のキバナさんさんも全く気づいていない様子である
「なんだ可愛いやつめ〜!Aもオレさまはイケメンって思ってるんだな!」
『さぁ…容貌に関しては疎い方ですが、少なくともキバナさんは色男の部類に入るんじゃないですか?』
「照れるじゃねぇか!それにお前だって美人だぜ?ヤマトナデシコっつーのか?」
『持ち上げますね』
生憎、その程度では靡かないぜ。顔面偏差値全振りの同期を見ていれば尊いを通り越して胃もたれするものである。なんでも過剰摂取は宜しくない。
そんなこんなでお互いによいしょよいしょとおだて上げる中、私は唐突に足を止めた。
・
「ん?どした」
『………』
…ああ、来たな。帽子を目深に被り直し声のトーンを落とす
『……いいですかキバナさん。こちらを振り返らずに聞いてください』
「?……」
『います。十尺ほど後ろから付けるように。歩幅から推測して女性、単独。例のアカウントの持ち主の可能性は高いです』
「!!」
反射的に後ろを振り返ろうとした彼を制する。挙動が怪しくなれば向こうが何か仕掛けてくるかもしれない。あくまで自然に…自然に、と彼を宥めてはまた口を開く
『相手はヒールを履いています。いざとなれば全力で逃げきれますが、今はまだ行動すべきじゃない』
「…な、んで……」
『分かりますよ。悪意だとかに敏感なんです。そういったお仕事だったので』
さてどうしたものか。今はまだ実害もないし、下手に警告しても無駄な気がする。現行犯でとっちめてやりたいものだが、隣のキバナさんを危険な目に合わせる訳にも……
………よし、こうしよう。
『次の曲がり角を右に、その後直ぐに口元押さえてしゃがんで貰えます?』
「え、……え?」
『理解しました?しゃがんで静かに待機』
そして曲がり角を右にいった次の瞬間…素早く片手をキバナさんの膝裏に滑り込ませ、もう片方で背中を支えた。普段は見上げるはずの彼の顔が、今はグッと近くなる。まあ、所謂姫抱きってやつだ
『舌噛まないでくださいよ…!』
「え、ちょ、ま…!」
オレさまが抱かれる側なの!?という嘆きには無視を決め込み、跳躍して屋根を伝う。咄嗟に思いついた案ではあるが、一先ずは撒けたようだ
130人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノルン(プロフ) - めっちゃ続きが気になる… (2022年10月22日 22時) (レス) @page32 id: 01548bf821 (このIDを非表示/違反報告)
七夏(プロフ) - 面白いです!続きを楽しみに待ってます! (2021年4月17日 18時) (レス) id: 716685a2fc (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 夢主ルカリオ連れてそう…(いろいろ手伝ってくれそうだしカッコいいし…) (2020年6月25日 10時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チョコ&ピーナッツ | 作成日時:2020年6月16日 15時