迷子【サテラ】 ページ20
「…しまった」
既に入学式は始まっている…というか始まってもう5分だ。
手首の腕時計を見つめて、サテラは校内の廊下で立ち尽くしていた。
自分が方向音痴なのは自覚していたが、まさか生徒会室から講堂に行くまでの道すらまともに歩けないとは思ってもみなかった。
…誤算だ。
後ろにあったティアルの足音も気付けば聞こえなくなっている。
いつもなら道に迷うとポケモンたちが目的地まで連れて行ってくれるのだが、今日は教室に置いてきてしまっていた。
唯一モンスターボールに入りたがらないチルタリスも、今はサテラの実家に帰省中である。
今頃サテラの姉のポケモンである母チルタリスと戯れているだろう。
この階が1階なのは分かるが、詳細な現在地までは分からない。
ここに来て2年目だというのに、未だ校内で迷ってしまうという事実に心が抉られる。
近くの扉に近寄り、外を確認した。
「ア…フィ…フィア…」
「？」
微かに鈴のような声が聞こえ、外に出て近くの茂みを覗く。
水色の体。
「…色違いの、ニンフィア」
怪我を負っているらしく、か細い声で鳴いていた。
手持ちのキズぐすりを使い、包帯を巻く。
回復したニンフィアが、サテラの袖をぐっと引っ張った。
ついて行けば、目の前にあるのは講堂の裏口で。
「もしかして。きみは新入生のニンフィアなのかな？きみを連れている在校生はいないからね」
「フィア！」
自分の手持ちであるニンフィアを思い浮かべ、裏口にそっと足を踏み入れる。
今は校歌を歌った後のようで、伴奏担当の生徒が急いでピアノから離れた。
講堂はその生徒の足音だけが木霊しており、あとは皆静かに次のアナウンス…そう、キユイが口を開くのを待っている。
(うんうん、しっかりやれているね)
内心安心しながら＿頼んだ後に彼女が音読を苦手としていることを思い出したのだ＿踵を鳴らして全員の視線を集める。
新入生は勿論、在校生までもが驚愕の視線を向けている。
当たり前だ、何しろサテラは規律を愛するあの生徒会、そのツートップの片割れ。
そんな彼女にティアルが声を掛ける。
「…今まで何をしていたんですか、サテラさん」
「なに、ちょっとこの子を手当していただけだよ」
「あ！私のニンフィア！」
ニンフィアを抱くと、新入生の1人が立ち上がった。
つかつかと歩み寄り、ニンフィアを手渡す。
「ありがとうございますっ！」
輝かしい純粋な笑顔に、サテラは苦笑しながら指定の席に着く。
…講堂は、まだ少しだけザワついていた。
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ヒメアミ(プロフ) - 宣言通り長時間滞在、本当にすみません！入学式編完結しました！次は体育祭編の予定です！そして続編の始めで主催者から皆さんにお伝えしたいことがあります。すぐに続編作りますので、しばらくお待ちください！パスワードは変わりません！ (2020年8月6日 17時) (
レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 更新します！…途中で色々あるかもなので、長時間居座るかもしれません…本当に申し訳ないです…m(_ _)m (2020年8月6日 13時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
元素(プロフ) - 更新しました！ (2020年8月6日 12時) (レス) id: 35622e45c8 (このIDを非表示/違反報告)
元素(プロフ) - 更新します！ (2020年8月6日 12時) (レス) id: 35622e45c8 (このIDを非表示/違反報告)
紅月@aile(プロフ) - 更新しました！次の方お願いします！ (2020年8月6日 8時) (レス) id: 62a5f394e4 (このIDを非表示/違反報告)
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