28馬鹿だったのは ページ30
「____では、明日は朝礼があるので
遅れないように」
ＨＲの最後の連絡も終わり、
帰りの挨拶をすれば放課となる。
「起立〜礼〜」
日直の緩い号令が教室に響き、
「さよーならー」
同じく緩くまばらにクラスメイトの声が響く。
岩泉が来る前に帰らなければ。
途中で会ったらアイツのペースに乗せられる。
だから、クラスで一番に教室を出て、
5組の前を通らないように
反対側の廊下を進む。
玄関まではアイツとは会わなかった。
ヨッシャ、なんて心の中でガッツポーズ。
そのまままだ人があまりいない校門まで
歩く。
校門のところにも人影は無いし、
待ち伏せってこともなさそう。
甘いのよバーカ、
いつまでも振り回される私じゃないの。
、
、
、
、
…なんて、馬鹿だったのは私の方だった。
、
「お、早かったな」
校門を出た直後に聞こえた憎きあの男の声。
その声がする方を見ると、壁際でしゃがみ込み
おばあさんが散歩中の犬を撫でていた。
…まさかのしゃがんでいたとか…
そんなのって無い。
「こいつすげえ人懐っこいんだ。
噛まねえから触らせてもらえよ」
「え、いや…」
うるうるの瞳で見つめてくる犬。
どうぞー、なんてにこにこしているおばあさん。
「……、うん」
ずるい、こんなの断れない。
犬の頭にそっと手を乗せると尻尾を勢い良く
振り始め、飛びついてきた。
「わっ！」
小さい犬だから飛びつかれた衝撃で
倒れるということはないけど、
顔面をベロベロと舐められる。
「ちょ…！顔…！」
「っ、ハハッ！お前めっちゃ気に入られてんじゃん！」
「いいから助けなさいよ…！」
ようやく顔を舐めるのをやめた犬は
私にお腹をみせて地面に寝転んだ。
そっと、そのお腹を撫でる。
「おおー、リラックスしてる…！」
モフモフであったかい。
「…可愛い」
「だなー」
小さく呟いた声は、岩泉に聞かれてしまったけど
まぁいいや。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 319人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお(プロフ) - もちづき。さん» コメさんくすです！夢主ちゃんの心の変化毎回苦労しながら書いているのでそう言っていただけてとても嬉しいです(*^^*)可哀想な夢主ちゃんを岩ちゃんの大きな愛で包んであげる話がカキタイ…笑 ありがとうございます！頑張ります（≧∇≦） (2014年12月31日 9時) (
レス) id: b2afde271e (このIDを非表示/違反報告)
もちづき。(プロフ) - 初コメ失礼します！夢主ちゃんの表情や感情の変化が細かく読み取れてとても素敵な作品ですね・・・！！！夢主ちゃんが可哀想で心臓がきゅっとなります！更新頑張ってください！応援してます！ (2014年12月30日 23時) (レス) id: 8ea19f9ae6 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - るあさん» えっと、画像申請許可後のＵＲＬをこのコメ欄に貼ってください〜！ (2014年12月29日 23時) (レス) id: e94be71292 (このIDを非表示/違反報告)
るあ(プロフ) - あおさん» 描いたあとはどうやって渡せば宜しいでしょうか！ (2014年12月29日 22時) (レス) id: 8a29014008 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - るあさん» 本当デスかっ！？！？ありがとうございます！！！！！！容姿は13話のところにあるイラストのような感じでお願いします(^○^)嬉しいです(*^^*) (2014年12月29日 22時) (レス) id: b2afde271e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽん
| 作成日時：2014年10月25日 21時
