【ハイキュー!!】白雪姫の毒林檎【岩泉一】

25ないわけじゃない ページ27

「岩泉、」

「よう」



それからというもの、私と岩泉はよく
一緒に昼ご飯を食べるようになった。

あの資料室で。



「相変わらずお前の弁当うまそうだな」


自分作った弁当。



「…食べる？」



いつもならくれって言われてもあげないけど
胃袋からつかむってのもいいかな、と思い
言ってみた。


「マジ？じゃあもらうわ」

そう言って、私の弁当箱から岩泉が
選んだのは卵焼き。


卵焼きは得意な方だけど、今日のは
特別綺麗に焼けた。



シンプルだけどこういうのって
上手い下手が分かれるからいいかも。




「ん！うめぇ」

「当たり前でしょ」



この私が作ったんだから。




「やっぱすげぇなお前の主婦力」


「せめて女子力って言ってくれない？」


「ハハッ悪ィ」




「ていうか…」





岩泉は私の弁当をすげぇすげぇ、と言うけど
岩泉の弁当も毎回すごい。

量といい、モノといい。




「アンタの弁当も凄いよね」


「だろ。まぁ俺は一切料理出来ないから
あんま胸張れないけどな」




ということは、コイツの母親が
作っているわけか。


まあ男子の弁当は大体そうだろう。




「いいよね、お母さんが作ってくれるの」



私も母親が作る弁当を食べたかった。

…なんて。




全くなかったわけではないけど、
もう母の作る弁当の味は覚えていない。



「…お前の母さん仕事が忙しいから
お前が弁当作ってるのかと思ってたけど…

“親に嫌われてる”って言ったのに
何か関係あったりするのか？」



「ない…わけじゃない」



直球で“教えろ”なんて言われたら
答えないけど、こういう風に質問されたから
答えてしまった。

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