【ハイキュー!!】白雪姫の毒林檎【岩泉一】

11思い通り ページ13

そして翌日。

「及川君呼んでくれる？」


近くにいた男子に声をかける。

一瞬驚いた様子の男子をじっと見つめると
わかった、と焦って及川を呼びに行った。



すぐに来た及川と共に廊下を歩くと
女子も男子もチラチラと見てくる。

そりゃあ学校内で目立つ方の私と及川が
並んで歩いていれば見たくもなるだろう。


「え…なんであの二人…？」

そんな声も気にせず、外まで行けば
相変わらずひと気がなく、静かに時が流れている感じ。




「じゃあ今回の内容だけど…」

考えたものは、及川が私に「大好き」と
言うところを志波さんに見せる、というもの。

私の命令で及川には、“好き”とか“大好き”
という言葉を志波さんに言うことを禁止してる。

だから自分には言ってくれない言葉を
他の女には言っているところを見れば
我慢が得意の志波さんでも、爆発するのでは
ないかと思って考えた。


それを及川に伝え、後は志波さんが来るのを待つ。


しばらくして、足音が聞こえた。


その音に混じり、咳払いも聞こえ、

「あれ…純夏だ」

そう、及川が呟いた。



じゃあ開始ね、と口角をあげて合図を送る。



適当に話をして、志波さんに私たちの存在を
気づかせてから___


「やっぱ徹と話すの楽しいなぁ、
ダイスキ徹！」

普段じゃ絶対しない甘ったるい声と話し方で
言った。


「俺も、Aのこと、大好き」


うん、完璧。
この男も演技上手いな。


「嬉しい、じゃあまたね」


ポン、と及川の肩に手を置く。


ハタから見れば仲の良い男女のよくある
ボディータッチ。

でも本当の意味は、
“あとはうまくやんなさいよ”と及川に
圧力をかけているだけ。

それもアイツはもうわかっていると思う。



その場から立ち去るフリをして
陰で2人の様子をみる。



「____もういいよ、
別れよ…及川君」


__そう、聞こえた。
今まで私が一番聞きたかった言葉。


走っていく志波さん。
青い顔の及川。

そんな顔をした及川の元へもう一度行き、

「あ〜あ、残念だったね」

言葉をかけた。



最後の最後で大成功。

自分の思い通りに事が進むのは
最高に気持ちが良い。


やっぱりこういうことはなんでも
私の思い通りになるんだ、


なんて思ったりもした。



______けど。

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