ライオンの婚約者 (ページ30)

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それは、夜のメインストーリーを歩くイデアが花嫁のゴーストに誘拐される映像だった

「……なるほど。花嫁のゴーストが探していた理想の王子様。
それがイデア先輩だった…と言うんだね？」

運動場に少し沈黙が流れる

なんだか生徒たちの肩が小さく震えている。

すると我慢をしていたAが大笑いし始めた。それに続いて他の人達も笑い出す

『ぷッ…あはははっ！！イデアが…理想の王子様って…』

「花嫁ちゃん、サイコーに見る目あるね！」

「イデアさん…こんな時に限って部屋を出るなんて本当に面白…可哀想な人だ」

『……あっ、はぁ！

はぁ…だけど笑い事では無いわ』

先程まで誰よりも爆笑していたAが、急に真剣顔になった

「どうしたんですかA先輩、そんな怖い顔して」

『ゴーストと結婚する、それは「死者と永遠に連れそう」ということ』

「ハミィさんの言う通りです！

彼女の花婿になれば……魂を抜かれてあの世いきです！！！」

Aとクロウリーの言葉に、生徒たちの驚いた声が運動場に響いた

「花嫁のお眼鏡にかなう花婿など存在するはずもないと思って、油断していました」

「に、兄さんが…ゴーストになっちゃう…！？そんなのだめ！
学園長お願い、兄さんを助けて！」

「もちろんです。仲間のピンチとあれば、ここにいる優しいみなさんがシュラウドくんを助けに……」

「「いやです。/いやだ。」」

ここまで綺麗に「嫌だ」が揃うことなど、今まであっただろうか

誰もが「嫌」と言い張る

「なんで？みんな力を貸してよ！」

「普段は人を避けておいて、困った時だけ頼るなんてムシが良すぎるでしょう」

「自分の兄貴の問題だろうが。テメェ1人でなんとかしろ」

『ゴーストとは、いくらなんでも仲良くなれないからね』